1999年1月号

講演会


 先日、県立歴史館の講堂を会場にして幼稚園の父母の会の主催で講演会が開かれました。園外を会場にして、一般の方も対象にしての講演会は初めての試みでした。聴衆が集まるかどうか、不安はありました。が、講師の東城百合子さんの伝えたい事を書物を通して見知った時、これは聞くべき話しではないかと突き動かされるものがありました。東城先生は『自然に帰って元気に生きぬくために』、大地に根差した家庭を取り戻そうと語っています。自然食という言葉が特別の世界のように響く昨今ですが、少し前まではどこの家庭でも食された日本の手作りの食事内容を薦めておられます。穀類を食べ、豆を食べ、青菜を茹で、根菜を煮て食し、皆でいただく食事を通して大人が大事にしている価値観を伝えていた家庭。そんな家庭にあこがれはありませんか?最近ではサザエさんの家庭さえ現代的になってきていますが、長い間見続けられているのはやはり温かい人と人とのぬくもりがちゃぶ台を囲んでのあの家族にあるからではないでしょうか。先生は家庭で生活習慣を身につけていくことが基本であると言っておられます。それは顔をしかめて口うるさく言うことではなく、ほがらかな顔で大人がやってみせるものであり、役割を与えて自分も役にたつと幼い子供にも感じさせるものです。こんなことを書いても大人(父親、母親、夫、妻)が満たされていないと感じたまま育ってきている今、机上の空論かもしれないと空しさも感じてしまいますが……。学校の教育内容が大幅に替えられて、人間が生きていく喜びや生活力を興味を持って身につける場に変り、自分を越えたおおいなるものによってすべてのものがつながって生かされていることを感じてほしい………とこの連載を始めて一年たった今も願ってしまいます。

 参考までに 『食卓からの子育て』(池田書店)東城百合子著

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