1999年7月号

待ちに待ってたお泊まり会!


 夏は多くの幼稚園、保育園がお泊まり会を計画します。年長児が主に対象となり、親許を離れて保育者やクラスメートと生活を共にするのです。自分達でご飯を飯盒で炊き、虫を捕まえに朝早く起きて!というワイルドな形もあります。が、当園では、修学旅行のようなお楽しみの多いお泊まり会です。それにもかかわらず、ぼくみんなと泣かないで泊まれたよ!という気分は、子供を成長させるのですね。子供にとって一番不安なのは、親に普段出せる甘えや要求を、この時は出せないかもしれないというぼんやりとした思いでしょう。それは特に就寝前に現れるようです。それでも、子供たちはそれぞれその不安に向かい合い、その時を乗り越えるのです。周りにはずっと一緒にいたいと普段願っている友だちがいて、いざというときに頼りになる保育者がいます。
 いつもと違う環境の中で過ごす体験は、今の子供たちには深く必要なことなのかもしれません。同じ味付けでなければ食べられない。同じ友だちとしか遊べない。マニュアル化しているものの中にしか安心を感じられない。待ちに待ってたお泊まり会だからこそ、楽しみが溢れている場だからこそ、喜んで普段と違うことができてしまうのでしょうね。夏休みもそういう時であってほしいと思います。ぜひ喜びというオブラートをご用意ください。そして日常の枠をちょっと外してみる試みを…と願います。

パンジーさんのまなざし


 7月24日。この日は子供達も保育者も楽しみにしている夕涼み会です。女の子の中には、綺麗に髪を結ったりお化粧までしてもらい、雰囲気をかえてやって来る子もいます。園に到着すれば子供達は元気一杯。金魚すくいや迷路、パズル、カラオケ等々、ご褒美バッチを2つも3つも胸につけて走り回ります。浴衣の着崩れを気にしているのはお母さん……
 私の担当だったカラオケコーナーも、次々と歌の大好きな子がやってきてはリクエストです。「お泊り会」「すいかの向こうに宇宙がみえた」「かたつむり」1人で、友達や兄弟といっしょに。マイクをぎゅっと握りしめちょっと硬くなった顔もなかなかいいものでした。お母さんは我が子の晴れ舞台を写真に収めようとシャッターチャンスを狙い、お父さんは隣でタンバリンを持って「団子3兄弟~」という姿も……。「まだ歌ってない」と泣いてしまう子、「次は僕、次は私」と順番もぐちゃぐちゃになり、それなら、と全員舞台に上がって大合唱。良い気持ちで外に出ればもう薄暗く、淡い光の提灯の下では盆踊りが始まります。あらっ二重の円がいつの間にか1つになってる……?
 そんなこんなで迎えたラストはやっぱり花火。第4土曜で来てくれたお父さん方の手を借りて大きな花火は子供達の目を引きつけました。ふと、花火で照された子供達の顔を見ると一瞬言葉が思い浮かびません。これから約1ヵ月。この子たちはどんな夏休みを過ごすのでしょうか?
 それでは、最後に可愛いつぶやきを1つ載せて7月の原稿を閉じたいと思います。
保育者: 「もうすぐ夏休みだから一杯遊べるね。いいなあ」
mちやん 「先生は遊べないの?」
保育者: 「うん」

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