2004年9月号

保育とは?


 先日遠足で出掛けた、国営常陸海浜公園。遊園地が見えない森の中。子供達は飽きもせず穴の中にいた太ったヒキガエルをながめ、葉っぱの色に合わせて斑が入ったアマガエルを目で追い、秘密の地図発見!と遠くまで駆けてきて、私を引っ張っていき、とくとくと先を争うように意味を話してくれたのでした。年齢の幼いお子さんも、年長児の腕の間からでものぞこうとし、押されたりしながらも踏ん張ってそこにいたりするのです。遊具というほどの物がなくても、今をわくわくと過ごせる当園の子供達に、胸が一杯になった半日でした。
 地域にあった畑や、草むら、異年齢の遊びの集団、ゆっくりと過ぎていく時間など、求めようにも環境として用意しなければならない時代です。多様な人々、色々な表情を見せる自然との出会いの中で、探求し、ジレンマを感じ、気持ちを切り替えたり、乗り越えたりすることを学ぶのですが、学ぶことなく過ぎていく危険性があるのですね。幼稚園の保育の必要性って、大きいのかもしれません。
 近所の芝生の広場へお散歩に行ったあるクラス。途中でおしっこがしたいと言いだしたTくん。目的地まであと10分くらい。我慢できるかどうかと様子を見ながら来たところ、もう無理そう。丁度顔見知りの八百屋さんの奥さんが店先にいて、声をかけてきてくださったのに甘えて、トイレを貸していただきました。裏側は暗くて、私はついていけないようで、彼は奥さんに励まされて、一人でトイレに入って用を済ませたのでした。この出来事がTくんの成長の契機になったように見えました。困難にぶつかり、地域の助け手がいたけれども、自分で乗り越えなければならない部分がありました。(薄暗い上に見知らぬトイレに一人で向かわなければ、用がたせない)。躊躇して、それでも励まされ向かっていって自分で成し遂げた後、何か雰囲気や表情が違うのです。Tくんは「ありがとう」とつぶやいて、その場をあとにしたのでした。

もうすぐ運動会!


 あと少しで運動会。子ども達から「早く運動会したいな~」という声が聞かれるようになりました。かけっこ、玉入れ等、遊びの中で「やりたいお友達おいで~!!」と誘うと「やるやる!」と参加してきたり、「先生玉入れのかご出して!」と子ども達から誘ってきたりします。年齢関係なく玉入れをしている様子を見ると、年長組は投げ方のコツを掴んで上手に入れていきます。年中組は入ったり入らなかったり、そして年少組は殆ど入らず……。でも、玉入れのいい所は最後に玉を数える時に皆の気持ちが1つになるところ!誰が何個入れたかではなく、皆で何個入ったかを数えていきます。皆で力を合わせる楽しさを子ども達も十分味わっているようです。そういえば、かけっこが苦手だった私も、玉入れではここぞとばかりに張り切ったことを思い出しました。入った時は凄く嬉しいし、入らなくても“次は入るかも!!!”と期待を持てるところがいいですよね。運動会では、種目によって自分で考える事が必要だったり、協力しなければできないものだったり、勝ち負けがあって悔しい思いをしたり…と様々な経験ができます。得意なものはもちろんですが、出来ないところ、難しいところを仲間で認め合い、カバーしたり補いあいながら運動会を楽しんで欲しいと思います。

つくしっこクラブ
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