2006年5月号

発見


雨の多い5月でした。型どおりの季節感が失われつつある地球環境ですね。親子遠足や園への参加行事もあって、ひやひやしながら空をながめてきました。そんな5月でしたが、子供たちはそれぞれに日々発見の連続のようでした。どこの園でもある虫さがし。入園したてのお子さんは蟻1匹から。進級児は怖そうな虫やてんとうむしの幼虫や卵。はたまた毛虫の観察と、プランターの下や庭木、草むらの陰に頭をつっこんで探しています。なんでもヨーロッパの方たちは、虫を観察することに興味がないとか!アンリ・ファーブルは超変わり者だったと言いますし、そう言われてきたとのこと。それでも大好きな事に邁進することができる環境があって、自分らしく生きられたようです。さて幼稚園の君は、あなたはどうでしょう。他の人と違っているところが目立ってあっても、夢中になれるものがあるなら、大物かもしれません。
幼稚園の片隅にある植えっぱなしの苺が、今年も紅く色づいて、たくさんのお子さんに味見をしてもらいました。「すっぱーい」とか「あまーいね」とか、反応を示しながら、「去年も食べたよね。」「その前も!」と確実に記憶を宿しているようです。ささやかな事だけれど、嬉しかったこととして、心と体にしみわたるのだなと、私も発見した次第です。

全力投球


「ブランコ乗りたいの。」「お山作ろうよ~。」「チョコレートケーキできたよ。」「毒虫取って~」…外遊びが大好きな子ども達が園庭の色々な所で保育者を呼んでいます。
森の機関車では戦いごっこ。砂場では大きな島や川が作られ、森の小屋ではケーキ屋さんが「いらっしゃいませ~」とお客集め。いつでも全力投球で遊びを展開していく子どもに、私も全力投球で向かい合っています。
先日、まだまだ遊び足りず「お部屋に行きたくない」と言う数名の子どもたちと遭遇しました。遊具に登ってしばらく降りてきません…。どうしたのだろうと思い、「そこから何か見える?」と尋ねてみると、「電車~!」とニコニコしながら答えてくれる子どもたち。幼稚園近くを通る電車の迫力に感動していたよう。子どもたちはお部屋に戻りたくなかったわけではなく、またいつ通り過ぎるかわからない電車の到着をわくわくしながらずっと待っていたのです。子どもはいつでも全力投球だという事をふと思い返させてくれた瞬間でした。大人になってしまった私が忘れかけていた何かを子どもたちから教えてもらう事となり、恥ずかしいという思いと同時に感動でジーンときてしまいました。子どもたちに心から「ありがとう」と伝えたい、そう感じた瞬間でもありました。
私にとって、子どもの存在そのものが癒しであり、支えです。これからも子どもたちから癒し、そして支えの手を差し伸べてもらう事のできるよう、全力投球していこう―今はそんな気持ちでいっぱいです。

つくしっこクラブ
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