2008年3月号

新しい始まり


桜の蕾が一輪、二輪と開きだした三月末、体育クラブに通うお子さんたちが終了式を終え庭にひとしきり歓声があがり、そのあと静かな園庭にもどっていきました。職員のやるべきことは山積みですが、束の間の静けさです。この一年、多分一人ひとりの保育者は毎日を夢中で走ってきたのでしょう。私が立ち止まっても大丈夫と声をかけても、にっこり「はい、大丈夫です!」と言って、また走り出していくのです。この園に来ているお子さんのように、毎日を一生懸命生きている大人達。そして同じようにひたむきで、他者に優しいお母様方、お父様方。この園を形作っている温かさは、一人ひとりの持つ温かさが支えとなっているのだなと、深く思います。
水戸市の中では珍しく自由な雰囲気に溢れ、いたずら(探索)もあちこちで見られ、遊ぶことが何にもまして楽しい子供達は、その後試行錯誤することを良しとして、しっかりとした足取りで高校生、大学生、あるいは社会人となっていくようです。子供は遊ぶ中で育つことを信じてきた方々が、親として家庭を守っているから、その後も嬉しい報告を聞くのだなと、この頃強く思います。
平成20年度も、自由と秩序を意識しながら、子供達にめいっぱいの愛情を注いでいきましょう。この時にしか味わえない今を生きるために!
園長  松本晴子

お散歩から学ぶ事


行事を終えた次の日、子供達とお散歩に出かけました。気持ちの良い青空と大きな事をやり遂げた後の開放感が子供達を包み込み、ただ歩くだけでも嬉しくて楽しい様な雰囲気が溢れていました。
蛙の卵があるか池を覗いたり、「どっち通る?」と小道を選んで通り抜けたり、原っぱで氷鬼もしました。そして、クラスの半分くらいが夢中になっていたのが花摘みです。「一杯摘んだね~」とBちゃんに声を掛けると「あのね、これって蜜があるんだよ。甘いんだよ」とお花を一つくれました。真似して吸ってみると、ほんのりと甘みを感じす。私も幼い頃サルビアの蜜を吸って遊びましたがホトケノザの事は知らなかったのです。Bちゃんはいつの間にこんな遊びを学んだのでしょうか。
あっという間に帰発時間。「来る時と同じお友達と手をつなぎましょうね」と声を掛けると子供達は相手を見つけて並びます。以前は手をつなぐ相手も保育者が決め、帰りには相手を忘れてしまったり、クラスメートとはつなげず保育者とつないでいた年少さんも当たり前の様に友達とつなげる様になりました。
更に驚く事に、お散歩に来られなかったC君について「C君も来たかっただろうね…」とBちゃんが言うのです。自分達が楽しい時に寂しい思いをしているであろう友達を気にかける優しさにはとても温かいものを感じました。子供達から教わる事は沢山あります。
大人は楽しいお散歩にしようと張り切るあまり、楽しさや発見や喜びに目を向けてしまいやすいのかもしれません。子どもたちの方が自然に生きているのかもしれないと、ふと思いました。
今年度最後の園外保育は、子供達の歩んだ足跡が一杯見られたお散歩となりました。
小林 悠子

つくしっこクラブ
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