2009年1月号

空へ!


なんで1年は12ヶ月なのでしょう。実際はもう少し長くてもいいのじゃないかしら。
と、毎年2月頃になるとそんな思いがよぎります。年長児が最後の大きな活動に向けて、お話を考えて小道具を作り出していました。自分の決めたことだと苦手なことでも粘ってやり抜こうとし、やり抜いた自分を「うん、なかなかいいやつ。」と受け容れる瞬間があります。ながめているだけの私もその空間の心地よさに心が熱くなります。こんな仲間になれたのに、3月でそれぞれ旅に出て行くのです。あともう少し一緒に居られたら、どんなことを楽しめるのだろうかと。
毎日毎日紆余曲折があって、もちろん今日もブロックの作品イメージと個人のこだわりの違いとで、5歳児男児が昼食後折り合いをつけられず、喧嘩になっていました。それでも私達は安心して見ていられるところに立てるようになってきました。
先生がこう言うから、こうであらねばならないという枠から、先生がこう言っていたから、もっとこうしてみようよと!大人の思い描く枠をも越えて、空へ空へと羽ばたこうとするあなたたちでいてほしいと、いつも想っています。積み木は精巧に出来ていますが、ふとしたはずみで崩れるのです。失敗をしたら、なぜかな?と振り返ればいいのです。そしてまた自分の考えたことを加えて挑戦したいでしょ?それが普通になるような社会を用意するのが、今の時代の大人の役割ではないでしょうか。日本もChangeするべき時ですね。
P.S. 1/30日に劇団風の子さんの劇『なんかよーかい』の世界を彷徨いました。55分の一本芝居であったのに、素晴らしい作りで、子どもも保育者も自分のすぐそばにある仮想の世界へ飛んでいって、また帰ってきたのでした。幸せでした………
園長  松本 晴子

込める思い・託された思い ― 物語の中で ―


【1】「えんそく」
えほん作りの活動の中である子どもが作ったお話から子ウサギが、お母さんと一緒に準備をしています。小さな窓の外からキツネが覗いています。2ページ目では「みんな揃いましたか?」と山羊の先生が子ども達に声を掛けます。次のページで「遠足なんかつまんない…。」とキツネが呟きました。「えっ!…どうして?」――――びっくりしました。もしかして、キツネ君が主人公なのでしょうか。もう一度ゆっくり話を聞いてみると、「(キツネ君の)お母さんは病気なの。ウサギちゃんはいいなあって見ていたの。」というのです。無言のまま「いいなあ。」と、見つめているキツネ君の心情を表現したくなるあなただったのですね。童話はこうして生み出されていくものだと感じました。
【2】「ロボットとあおいことり」
絵本サークル「わたげ」のお母さんが、卒園を控えた望組に是非読み聞かせたい絵本があるという申し出を受け、礼拝の後、続けてその時間を取りました。後の子は立って身をのりだすようにして、お話に耳を傾けました。久しぶりに、子どもの側になって聴いていると…。青い小鳥に出会ったロボットが、自分自身を「ぼくは、ごみだから。」という所で、不覚にも目からポロリッ。もう、後はそのままの流れで、お話の世界に浸って最後まで聞き入ってしまいました。幸せな気持ちになりました。しかし、深い!! 実に深いお話しでした。感動のお裾分けに預かることができ、感謝でした。(早速、購入し、高校2年生の男の子にプレゼントしました。)
いろんなお話があります。話し言葉では伝えきれない思いが、精選された言葉の向こうにあります。それが子ども達の心の中で時間をかけどんな風に醸造されてゆくのでしょう。
深谷 幸代

つくしっこクラブ
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