2010年3月号

かいじゅうたちのいるところとは?


3月は春のうきうきさがあるのに、なぜ終了の時なのでしょう。欧米のように、7月はじめに終了で、9月始まりだったらいいのにと思います。長い休みを家族と共に楽しみ、進級や門出をゆっくり受け容れられるように思うのです。3月は企業は忙しい時期ですから、お父様ももちろん気持ちにゆとりはありません。ばたばたと転勤移動もしていきます。私達は短い保育期間に精一杯の想いを込めて、3月は走り抜けなければなりません。
そんな時なのに、3月はじめのお別れ遠足で、私は思いきったことをねらってしまいました。それは偶然与えられたことでした。昼食を皆でわいわい食べたあと、偕楽園公園の芝生の広場に移動したあるクラスの子供達は、大きな水たまりをみつけたのです。朝方まで降っていた雨のおみやげで、芝生のくぼみにたまっているという珍しい風景でした。3,4歳児のメンバーは最初は遠巻きに、そのうち縁に寄ってきてのぞきこんでいます。青い空が映って、自分の顔も映るのがわかります。でも誰も足を踏み入れません。手も入れません。「あー誰か冒険に出ないかしら。。。これは自然を味わうチャンスよ。」
その時、一人の他のクラスの5歳児の男の子が、たったったったっと水の上を横切って走り去っていったのです。すると、3歳児さんも4歳児さんも垣根がゆるくなって靴を履いた片足をそっと水に入れはじめて……、最後はびしゃん、ばしゃん、ぐちゅんと水とたわむれて、それはそれは没我の15分でした。時の流れを忘れるという体験。
公園なので通りゆく人は色々な反応。保育者(私を含めて)はにこにこ見守っているので、余計にひとこと言いたそうなご婦人方。え、これ保育園?という反応。保育園に失礼な気がしました。「おー、これが子供だよな!」と、目をきらきらさせてながめていった大学生くらいの男の子達。「おーやってみろ。昔はこうして田んぼで遊んだよ。」とにこにこベンチで声をかけてくださる方。帰るよ!という声で現実に返り、自分の姿に呆然とすること。お母さんに怒られると、こぼす子。ぼちゃぼちゃのくつを履き、ちゃぼちゃぼのずぼんを履いて園バスまで歩く気持ち悪さ。幸せなことに暖かい日差しが照らしてくれています。センダックの『かいじゅうたちのいるところ』を地でいったような体験が出来ました。体験した子としなかった子では、もう既に人生が違うのです。
子供の時間はこの時期しかありません。分別と日常のしがらみはすぐに子供達に覆い被さってきます。時間はついて回ります。でもこの没我が無くてはならぬものだということは、みなさんきっとわかりますよね!大人はそれを邪魔せず、ちょっとの嫌みくらいで終わりにしてあげる余裕をプレゼントしてください。子供も必死に重荷を負って生きているのですから。
園長  松本 晴子

元気いっぱい!


卒園式を迎えました。一人ひとりの顔からは誇らしげなな笑顔が見られ、巣立ちを迎えるとても良い表情をしていました。特に名前を呼ばれて卒園証書を受け取りに行く姿は凛々しくて個々人の成長が思い巡りました。
30名の卒園生の中で今年度は7人の皆勤者と7名の精勤者(5日以内の欠席)がいました。約半分の子ども達がほとんど休まずに登園してきたのです。年長児だけでなく園全体を見ても今回は約半分の子ども達が精勤!こんな幼稚園あるのでしょうか?!!私個人としてはものすごい驚きなのですが…。寒くなっても裸足で園庭を走り回っていた子ども達。冬の寒さの中でも外遊びは普通というこの幼稚園で、身体は日々鍛えられてきたのでしょう。子どもは本来、暑いときは暑いなりに、寒い時は寒いなりに自然の中で楽しんでいく事を思わずにはいられません。
年長さんのいなくなった今日は園庭でおもちゃや人形の洋服の洗濯ごっこ。春の日差しも感じられる園庭には洗濯物が一杯干されました。温かい日に洗濯物を干すのは気持ちが良いのか、子ども達は喜んで手を伸ばしていました。卒園していった子ども達、進級していく子ども達・引っ越して新しい環境に入っていく子ども達、来年度もそれぞれの成長を願います。
小林悠子

つくしっこクラブ
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