2012年1月号

3 歳 児


3月の震災後に入園してきた今年の3歳児。4月のひとりごとの欄にも書きましたが、家庭から離れることが不安で一杯だったはずの年齢3さいの面々。
10ヶ月たった1月終わりの保育室の活動をのぞくと、その日はクレパスで描いたカラフルなストライプに青い空の色を絵の具で染め上げることをやっていました。絵の具コーナーは4名ずつしかできないので、描き上がった子どもたちは待合室よろしく、横並びに並んだ椅子に腰掛けて、近くの仲間とコミュニケーションしきりです。前の人が順番でずれると、次から次へと声をかけてずれていくんです。なんともおもしろい風景でした。
そうそう、このクラスの子どもたちは仲がいいんです。ひょうきんで目がきらきらしていて、怒ると大騒ぎすることもあるし、先生に叱られた…としょんぼりテラスを一人歩いていることもあります。食べることが大好きで、残菜も少なくて、そのパワーで私はこんなことが出来るんだ!!と得意げに見せてくれます。実際の所、彼ら彼女らの心の深いところには、地震の記憶がその時の大人の不安と共に沈んでいるはずなのです。そのことがどんな滋味になっているのか(私は滋養になると思っています)まだ想像もつきません。ただしっかりと日々を自分の足で歩いて今ここに来たということを感じるのです。
ご家族のお顔もずいぶんと穏やかになったと思います。日本は大変なところに来ているけれど、最も大切な家族の平和はこの1月まで守られてきました。「ねえねえ、またお手伝いしてお金貯めようよ。」クリスマスの献金を初体験した3歳児のお子さんの言葉だそうです。地雷除去のためにと集めて頂きました。彼女には遠いアフガニスタンの前に、自分が何かお手伝いをすれば、お母さんが喜んでくれてお駄賃をびんに貯めてくれるその家庭の平和がなによりなのだと想像します。でもこの行いは確実にアフガニスタンの子どもにもつながっている。そう思いませんか?
園長  松本 晴子

先生、ありがとう


先日、遊んでいた男の子達に入室の時間を伝えると、すぐに追ってきて「先生、(時間を)教えてくれてありがとう!」と言われました。わざわざ追って伝えてくれたのです。続いて数人の男の子からも「先生、ありがとう」の声。思わぬ言葉に私は驚き、嬉しくなりました。気持ちを伝えようとしてくれたこと。それが感謝の言葉だったこと。
子ども達がこんな風に感謝や相手を気遣った言葉を発する時はどんな時なのでしょうか。私が思うのは「心が満たされている時」です。男の子達の遊びが充実して楽しいものだったのかも知れませんし、友達とのやりとりに安心や喜びを抱いていたのかも知れません。自分の事に満足すると周りのことへの気持ちが向いてくるのです。
あるクラスで伝言ゲームをしていると、背の低いA男が背伸びをして背の高いB男に伝えようとしています。それを見ていたC子が「座ってあげたら?」とB男にささやくのです。B男はそれをきいてすっと座り伝言をききました。
何気ないやりとり。1、2学期でもこんな瞬間はあります。でも「こうしたらいいんじゃないの?!」という保育者を挟んだやりとりや個々人の考えの強さも感じ取れます。それがこの時期になると相手を汲む気持ちのにじんだ自然なやりとりに変化するのです。相手を気遣って言葉を使うって本当に素敵な事です。こんなふうに言葉が飛び交ったら、こんなふうに友達の心遣いを感じたら、子ども達自身、いろんなところで心地よさを味わえるはず。心があったかくなるやりとりが一杯生まれるといいなと思う1月でした。
小林悠子

つくしっこクラブ
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