2012年2月号

今、というところから


雪が降って、しっかり身支度を整えて登園してきた子どもたち。3月間近で、はらはらはらはら雪が舞う中で、びしょんこになって遊ぶのも魅力的です。でもその日は熱風邪がまだ多い状態で、インフルエンザもはやっているし、午前保育でもあり、と私が躊躇してお外はお休みにしてみました。誰もいないお庭を見て、「先生、(お庭で)遊べる?」と園バスから降りてきて即確認してくる男の子も何人もいました。その度に大人の訳を言って、「え~」と言われながらちょっと胸が痛みました。
子どもたちの一回性の時。もうその時は戻ってこない。ということを今振り返っています。以前NHKの「プロフェッショナル」という番組の中で、映画制作者の宮崎駿さんがおっしゃっていたことが蘇ります。宮崎さんがオープンカーをもっていて、それに甥っ子か誰かが乗った時のこと。「上をあけて走ろうよ!」という幼子の声は聞こえたけれど、雨が降り出していて、「今度ね。」とその時は過ぎていってしまったと。そしてもう2度とそのチャンスは巡ってこなかったと。なんでシートが濡れても一緒に味わってあげられなかったんだろう。。。と、ずっと心の中に澱となってその苦さが残っているのだそうです。そういうことに心がとらわれるこの方を、私は尊敬していますが、子どもの世界を理解することは、本当にむずかしいとつくづく思うのです。何年この仕事をしていても失敗が多く、貴重な時を見失っていることがしばしばあるのです。早春、個性的な面々がどんなおもしろいことを考えてやっていくか、短い3月を味わい尽くしたいと思います。
園長  松本 晴子

年長児の協力


手作り楽器を作っていた時の事。ピアノを作り始めたA君。空き箱を合わせて、側面、背面、鍵盤を作っていました。途中「先生、手伝って!」と私も少し手伝いましたが、その様子をB君が覗きにきました。「僕、手伝おうか??手伝うよ」とB君。「じゃあ、B君はガムテープ切って!」2人の作業開始です。
とそのうち、手伝い仲間が1人増えました。C君は「こうすればいいんじゃない?」とアイディアを出すのが得意です。そして、またもう1人。いつの間にか手伝ってくれていたDちゃんです。Dちゃんはガムテープを丁寧にちぎり丸め、等間隔に貼ったり、カラフルに色を染めたりします。もう私の出番はほとんどありません。
作業はどんどん進み終盤に差し掛かったとき、B君のこんな声が聞こえてきました。「これはA君のものだから、A君が好きなように決めていいんだよ」
鍵盤をどう貼るのか決める場面でした。周りの子ども達は一緒に作っていても、A君のサポートである事をちゃんと意識しているのです。気持ちに寄り添ってもらったA君はとても嬉しそうでした。
そんなこんなで作業は一時終了。もうお昼の時間です。ピアノ作りを初めてから1時間以上が過ぎていました。子ども達はとても満足そうです。私も子ども達同士が互いに積極的でありつつも相手を尊重し、気持ちの良い関わりが持てたことに嬉しくなっていました。
作り終わって自分の楽器を片付けていた時、C君がぼそっと「A君の方がすごい」と言ったのです。C君の楽器は色んな箱や棒が付いていろんな叩き方のできる太鼓です。実はC君はA君の手伝いをしながらも、時々自分の楽器を手直ししたり、箱を加えたりして変化させていたのです。大人の目にはそれぞれが作った素敵な楽器。友達の協力でできたA君のピアノ。心の中には「うらやましい。すごいな」という気持ちがあったのですね。それでも魅力的なA君の作業を手伝い、自分の楽器もより工夫したいと思ったB君を私は本当に素敵だと思いました。心の葛藤をいろんな形で表現したり、押さえたり・・・その後、何もないような顔でお弁当の準備に向かうC君でした。子ども達の心のに中ではこんな繰り返しが沢山あるのかも知れません。
小林悠子

つくしっこクラブ
友だち追加