2015年5月号

体からの声


この原稿を書いている5月末、通園バスを降りてきて初めて「おはよう。」と声を返してくれた新入3才児の男の子がいました。いつも門を入ってくるところではにこりともせず、緊張が続いているのかなと見ていました。そんな中ミーティングで、彼に友だちが出来てふざけることも始まっていると、担任から耳にしました。その話題の後の「おはよー」だったのです。人の心の機微を不思議に感じます。実は私は声を出して挨拶をするのが苦手です。職場であるこの幼稚園ではやれていますが、他では怪しいです。そのためか門のところで挨拶が返ってこなくてもあまり気になりません。心の中は見えないもので、声は出ずとも相手の存在を感じて通り抜けていると思っているからです。

体が声を発していて、それに私も乗ってしまったのが、夜に大雨の降った日の朝のある場面でした。園庭に水たまりが一杯あると、泥んこになって遊ぶ子どもたちが多くなりすぎてしまうので、朝の内に水をすくって水たまりを減らすのですが、垣根の際に大きなのを一つ残しておきました。隅っこだし、三輪車で通るのを楽しむくらいかなと予想したのです。ところが、水たまりのそばにあるジャングルジムに乗っている子どもたち(主に5才児)が、水たまりをのぞきこんでなにやら話しています。そして一人が50センチメートルくらいの高さからダイブしたのです。「びっちゃーん!」本人、びっくりした顔ながらも、笑い出しました。もうだめです。私の心がわくわくしてしまっています。「バンジージャンプならぬ、ぼっちゃんジャンプだね(笑)」そこにいたメンバー達は、「ぼっちゃんジャンプだって!」とうけてくれて、4人くらいでダイブするスリルを味わい続けていきました。有り難いことに庭からは目に付きにくく、大勢が押しよせはせず安心して見ていられました。幸せなこどもたちです。ご家庭でも「まー何(この服)!?困ったわね。」くらいで済んだのでしょう。有り難いことです。

泣いてしまうようなつらい出来事も、毎日誰かしら巡り会います。それも現実です。そして嬉しい変化があちこちに花咲いていることも事実です。生きていくことはおもしろい。

新人の悩み事


望組の子どもたち:「この子ずっとくっついてくる。うざー」
年少児:にこにこ
新人:(そんな言葉、もう使うの!ショック。どうしよう。そうだ。自分が言われたらイヤな言葉は、他の人にも使わないと話そう。)

今の世の中、すごいスピードで情報が回っています。その影響はあっちこっちにぽんぽん出てきます。とっさに判断することはとても難しいです。保育は大変な仕事なのです…


園長  松本 晴子

つくしっこクラブ
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