1998年12月号

日本のクリスマス


11月の末になって、幼稚園はクリスマスを迎える準備を始めました。 保育室の窓ガラスにセロハンで作った飾りを付け、ステンドグラス風にしてみたり、ミニツリーを各クラスで作ったりしました。 子供達はきれいなもの、愛らしいものを好みますが、「先生、それ何?」とすぐ寄ってきて、一緒に作り出します。 (残念ながら年長の男児はあまりやりませんでした。3歳児男児は喜ぶのですが…。) そうやって、幼稚園の中が少しずつ飾られていき、何かいつもと違うねと子供も大人も感じていく一方、 礼拝を通してクリスマスがイエス・キリストの誕生を祝う時であることを知っていきます。 サンタクロースからのプレゼントが楽しみで、本物のサンタをまだ信じている子供達です。 目に見えないイエスさまを思うことも、大人より素直に出来るようです。 「どうしてイエスさまは馬小屋で生まれたのかな?」と家庭で母親に聞いてみる子供の姿も耳にしたりします。 イエスの誕生の物語は、この明るい日本で生活をしている私達には想像も出来ない世界かもしれません。 赤ん坊の誕生が暗いじめじめした家畜小屋の中ということ。 お祝に駆けつけたのは、一定の住居を持たない遊牧の民である羊飼であり、遠い異国の博士達でありました。 その町の人々もその国の人々もその出来事に気がつかなかったのです。 そんな世界を今の私達に投げかけてみるのは、違った価値観もあるのですよと示す行為とも言えます。 生誕劇を年長児がクリスマス会で演じることを通して、保育者も各家庭のお父さん、お母さんも考えたことでしょう。 聖劇て何?それぞれの役割に優劣があるのかしら? この子(うちの子)にできるのかしら?等々。 色々な思いを巡らせてもらうことが(たとえ現代的な価値観であったとしても)、疑問を持つ事につながり、 ちょっと今を立ち止まることになるかもしれない、そんな期待が胸のうちにあります。

つくしっこクラブ
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