2002年2月号

幼稚園でできること


  幼稚園での子供達を見ていると、やってみたいことが実現できるというわくわくした心持ちを感じることがあります。それらは主に家庭ではなかなかやらせてもらえないことです。
 砂場に大きな穴を堀り、水をじゃんじゃん入れて、池を作ろうとしているm君。靴も、靴下も、足も、ずぼんもトレーナーも水はね、泥はねだらけですが、仲間と
「おい、もっと水いれて海にしようぜ!」なんて、夢をふくらませているから気にするはずもありません。
 給食当番になれば、カレーの入った器、大根とさといもの味噌汁なども素手で運ばせてもらえます。3才児にはかなり難しいことです。その日、がちゃがちゃしているクラスでは、ふざけている子供にぶつかって、中身がこぼれることももちろんあります。それでもがんがん叱られることもなく、最挑戦できます。5才児ともなれば、
「先生、tちゃんのがまだないよ!」なんて、保育者の抜けているところを補うこともできるようになります。おかわりをするのに、自分でお玉を使ってお鍋からよそうこともやれます。  鉄のようなかちかちだんごを作るのに、園長先生の〈それは困ります。砂場でやりなさい。〉という視線を感じつつ、いい泥、いい砂を求めて作りぬく5才児の子供達。手の平でごしごしみがき、ずぼんでみがき、暇を見つけては集中して作る姿は素晴らしいものです。出来上がったものにどれだけのエネルギーが注がれていることか!!
 ちゃっかり階段の手すりを滑り降りてみたり、日光消毒のため干してある布団に寝転がって風を感じてみたり、カラーテープをぐるぐるまいてボールにしてしまったり。あらあらと思いながらもこんなことができる場があっていいなーとほっとしてしまうのは、私だけ??
 春を間直に感じるこの季節。一年間よく無事で過ごせたね!毎日いろんなことがあったね!自分は一人じゃないね!という思いに、胸一杯になってしまいます。

またね!


 先日、スーパーで買い物をしていた時の事「先生!」という声に振りかえると、同じ目線でニコッと笑う女の子が立っていました。私がまだ初々しい?1年目に受け持った子でした。「Aちゃん?」「うん」「えっもう何年生になったの?」「中学2年です」幼稚園にいた頃は、テラスで「お家に帰りたいの」と泣いていたAちゃんが、こんなに大きくなったんだ、と驚く私。「部活にも入ったよ」とちょっぴり誇らしげな笑顔がまぶしかったです。日々、子供達と接していて嬉しかったこと、感動した事もあるけれど、この職業について更に嬉しかった時は、巣立った子供達と話をしたり成長が分かる時です。園バスに乗っていて、小学校の下校時間と重なると、誰かいないな?と探す私。見掛けたりしたら「今日ね、〇ちゃんがいたよ」と職員室で話の花が咲く私達保育者。「あんな事があったよね」「今、何年生になったんだっけ」「ええーっ、そんなになったの」と自分の歳に置き換えて、ガガーン!!そう、幼稚園生と一緒に生活をしていると、時々自分の歳を忘れて(振り返りたくないのかも)しまうんですよね。
 カレンダーを見れば、もう3月、今年も沢山の思い出が出来ました。20日は、いよいよ卒園式。晴れの日に泣かない様に今から泣き貯めをしておこうかな、「さようなら」ではなく「また会いましょう」と挨拶しようと心に誓っている私です。いつかどこかで、私達に出会ったら、話かけて下さいね。

つくしっこクラブ
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