2011年11月号

クリスマスの香り


とうとう暮れに入りました。なんか今年はせつないです。街角、イルミネーション、裏通り、塀の上のネコ、夕闇迫るブルーモーメント。何を見ても心がちょっと苦しくなります。自分に叱咤激励しなければなりません(笑)。元気を出そうよと。
そんな中で印象深かったことに、紅茶の香りがあります。11月のこどもまつりのあとに、紅茶の楽しみ方講習会を企画しまして、水戸の紅茶館の先崎キヨ子先生をお招きして豊かな時間を持ちました。クリスマスのバリエーションティーの簡単な作り方を教わって、オレンジと香辛料のグローブと茶葉の香りが溶けあった甘酸っぱい匂いをかいだ時、とっても幸せを感じたのです。あ~クリスマスの香りだ。。。と。昨年購入したお店のクリスマスブレンドの紅茶も、似たような香りがしたのをすぐに思い出しました。香りの記憶は視覚の記憶を超えていく。そんな気が致します。
そういえば震災後の町々には色々な臭いが漂い、その日常の記憶は容易には抜けないでしょう。そのにおいをかぐだけで、その場面が彷彿としてしまうことが、容易に想像されます。そんな中、被災地ではアロマオイルとハンドマッサージの講習がボランティアの方々によって数多く開催され、好評であると聞きます。短い時間であっても優しい香りに包まれて人と交流が持てることが、癒しにつながっていることを感じるのです。
クリスマスとオレンジはヨーロッパの伝統で、15世紀前後に盛んになった柑橘類にグローブを刺して厄除けとして玄関などにぶら下げたということがあるそうです。ショウガとかシナモンとか、その頃から体にいい香りものは生活の中で伝承されていたのですね。
先日5歳児のあるクラスで、一人一人ゆずの香りをかぎました。それからしめじの匂いもかぎました。反応は様々でした。子どもたちが香りの記憶をもしっかり持つ豊かな人生であることを願います。
園長  松本 晴子

その時必要な事


3,4歳児で氷鬼をすることになりました。大抵はこの遊びに慣れた5歳児が鬼の人数や鬼決めを進めているので、私は内心保育者の手助けが必要だろうと想像していました。ところが、始まってみると「鬼決めるよ。誰か鬼決めしたい人??」とA君が仕切り出しました。「はい!」「はい!」と手は10人くらい挙がります。「じゃあ、ジャンケンね」
 ・・・ジャンケンポン・・・あいこでしょ・・・あいこでしょ・・・
10人のジャンケンはなかなか決まらない?いえ、どんどん人数が減っていくのです。なぜかと言えば、年少のB君が目についたものを「はい、じゃあグーの人だけね」「次はパーの人だけね」と厳選しているのです。本来は勝った人が残っていきますが、そこは3歳児。10人もの手を一気に判断できず、自分がその時、見て思ったことで勝利を決めて皆を誘導していたのです。でもそのことに気づいているのは私だけ。子ども達は皆真剣にB君の言うことを聞いているのです。ある意味、そこではその方法で成り立ってしまっているのでした。
これは縦割り保育の大きな影響だと強く感じます。いつも仕切ってくれる5歳児がいなければ、少しわかっている子ども達が自分で進めようとするのです。見てきたのと同じような運びになるように。見よう見まねであっても自分の力を出せる機会を得ると、いつの間にか再現したくなるのですね。ジャンケンが正しいかどうかは今回は必要なかったのです。子ども達は皆、積極的で一生懸命なB君を信じてついていき、B君はB君で自分の経験を生かし遊びを進めようとしたのですから。
小林悠子

つくしっこクラブ
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