2012年5月号

Kindergarten


水戸幼稚園はお庭が重要な遊びの空間です。雨天でない限り、お庭に遊びに出る姿が断然多いといえます。この空間がいかに複雑雑多でなおかつ居心地がよいものになるか…、思い巡らすのは楽しい時間です。
3歳児の女児が2人、遊具の裏のプランターのところで、ムスカリの実を摘んでいます。幼稚園に入って出会った2人は、この不思議なものに心ときめいたようです。確かに変わった物体です。また桜の実は日に日にふくらみ、紅が宝石のように美しくなります。せっせと黄色いバケツに集めてごっこあそびに使う5歳児。日がたつと褐色に色が変わっても、まだ大事な小物のようです。梅の実が落ちだした頃には、入れませんというロープの中には入らないけれど、思いっきり体を伸ばして砂場のレーキを使ってかき集める面々がいました。こちらは苦笑い。大手鞠の花が咲きだすと、もう丸みが魅力的でしかたがないのでしょう。木の周りをうろうろする子どもの姿が(笑)。自然に落下するのは花が終わりの頃の花びらだけで、まるまる手に入れたいメンバーは手の届く所でうまく手に入れる姿が出てきました。「お母さんへおみやげにするんだ~」という言葉を、お子さんはよく口にします。自分の欲求と(美しい・不思議だ)、大切な人が喜んでくれるという相手を納得させるに足る理由を持ち出して、大人にせまってくるのです。園であれこれ夢見ているときが一番幸せなのかもしれません。現実は自分の想像通りにはなかなかいかないものですから。。。ちゅーりっぷの花びらはすりこぎですると、きれいな色が出ました。保育者が足ふきタオルを干すためのテラスにある洗濯ばさみは、かごからかごへ入れ替える3歳児さんの遊び道具になりました。裏庭では黄色いバケツにありを片っ端から入れて、木っ端でふたをして、友とあり屋さんを開いている4歳児。逃げないようにと木片をどんどん積んでいくので、他の人は実際中を見られないのでした(笑)。ありじごくを見つけた保育者は虫好きの子どもの影なる尊敬を集め、その知識に対抗するべくひそかに実践を積むようです。
ちょっとした一コマをご紹介しましたが、これらはほんのほんのわずかな事例です。でも庭がどんなにか豊かな学びの場であるか、ご想像いただけるかと思います。幼稚園はドイツのキンダーガルテンを日本語に当てた言葉です。幼子の園(庭)。神さまが創造されたもの(庭につながる全てのもの)から、この宇宙の摂理までをも気づくヒントが隠されているかもしれない場。。。なのだと思うのです。
園長  松本 晴子

あなたを動かすものはなんですか?


恋をした頃のことを覚えていますか? 何かにつけ恋しいその人のことを思い出し、なにかしてあげたくなったものです。でも、子ども達は恋をしていなくても、誰かのために何かしてあげたいと素直に思えるようです。駆け引きや計算づくではなくて、子ども達をある特別な行動へと動かしていくものとは何なのでしょう。
【1】「私(望)もやってみる…」    保育者と星組の子とのかかわりを見ていて思うところがあったのでしょう。保育者に代わって心にかかる星組の子に寄り添ってみたり、声をかけてみたりする望組の女の子達がいます。ある星組の子は、絵本を見る時に女児にだっこしてもらえるとほっとして落ち着いて絵本を見出しました。また、他の星組の子はそばでじっくり寄り添ってもらえるだけで、帰りの準備がスムーズに気持ちよく出来るようになりました。まったくイライラせず、実に優しく根気良く付き合ってくれるのです。
今まで自分がしてもらってうれしかった体験を生かしての言動なのでしょうが、ある意味保育者よりも「その子だけを思う」ことに専心できているのにはハッとさせられます。(保育者としては複雑な気持ちです。負けてるかも…。)
【2】A君いるかな…?」    連休明けから園バスに乗ることになった星組のA君のことをB君は気にかけていました。B君は望組。手をつないで一緒に帰りバスの旗の所に並んで欲しいと、保育者に4月下旬から声をかけられてはいましたが、ある雨の日には、B君はA君の部屋まで「どの子なの?」と確かめに来て、「あの子でしょう!」と念を押して帰っていきました。そしてまたある日は園庭で、「この子だよね。自分で見つけられた(=A君が大勢のお友達の中にいても僕は見つけ出せたよ)。」と報告してきました。万全の準備をして迎えた当日、A君はお休みでした。「先生の嘘つき!!」「明日は元気になって来ると思うよ。」「…分かった…。」
そして、次の日の帰り。しっかりA君と手をつないでバスの旗の前に並んでいる二人の姿がありました。そっと二人を眺めながら、半月ほどずっとA君を思い続けたB君のことを思うと妙にうれしくなってきました。(やっと手をつなげてよかったね!)
フリー担当  深谷幸代

つくしっこクラブ
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