2013年7月号

Sense of wonder


栃木県茂木町の里山の一角で,ある日の夕闇の中、うごめく者たちがおりました。それは水戸幼稚園のお泊まりキャンプに参加して、夜まで元気でいたメンバーたちでした。その日の午後歩いた樹林の中の細道を、夜も歩いてみる体験です。いつものごとくうっすらと見えるだろうと考えていた私ですが、この日は曇り空で月明かりがなかったのです。ですからあっという間にまっ暗闇になってしまいました。そこを懐中電灯は首からぶらさげるだけで点灯せずに、棚田へと一列で降りていったのです。私がキャストの方々に頼み込んでのことでした。直近の前を歩く人の姿は慣れてくればうすぼんやりと見えます。でもちょっと離れれば目をこらしても見えないくらいの暗闇を大人も子どもも体験しました。怖さはもちろん誰にもあったはずです。ただ、どうやっても見えないとなった時、人は全身で道をさぐろうとし始めることを知りました。「足で見るんだよ!」と伝え合う姿。「今、橋をわたっているから。もうすぐあるからね。」「Kちゃん大丈夫?」「大丈夫じゃないけれど、どうにか頑張っているから。」昼間は優劣や上下関係を見せ合う人間関係が、それぞれが対等に励まし合う関係に変わってしまっていました。いつもは弱者の立場なのに、暗闇でははっきりとした口調で「大丈夫だよ。」と声をかけ続けてくれたSくん。それぞれに与えられている賜はいつ発揮されるかわからないのだと、悟りました。各々は耳をそばだて、森の気配を、それもなぜか守られているような気配を感じ合って進んで行きました。
途中からは危険を回避するのに大人だけ光を灯しました。大分歩いて暗がりの中出迎えてくれたのは、蛍の柔らかな、でも力強い光でした。棚田に降りたっての幻想的な光の舞(130匹ほど)は、誰をも無口にさせ、頑張った自分たちに与えられた神秘のプレゼントという想いを与えたようでした。翌日夢の中で蛍を見たよという報告も数人あり、この体験を与えて頂いたことを、神様に感謝せずにはいられませんでした。
夏休みはぜひとも、『センス オブ ワンダー』レイチェル・カーソン著(新潮社)を。美しい本です。
園長  松本 晴子

♪ 私達も神様に創られ育った仲間達 ♪
    (さんびか「うみでおよぐ」)


1学期が終わりました。テントウムシの幼虫やアリ・ダンゴムシをはじめとして、今年もアリ地獄やクモにいたるまで、子ども達の興味や関心の的となった生き物達は一息ついているのではないでしょうか。虫達にとっては命を狙われる過酷な毎日だったかもしれません。でも、子ども達にとっては小さな命とのかかわりを通して、相手(虫達)の思いや自然の大きな摂理の中で生かされていることなど、いろいろと考えさせられ教えられる毎日でした。

★「ダンゴムシさん達ありがとう。 カラカラにしてまったダンゴムシさん ごめんなさい」数の上で一番子ども達のために貢献してくれたのはなんといってもダンゴムシでしょう。数を競うようにして捕まえ持ち帰る子が多い中、光組のある男の子は家で飼っているトカゲのために(死なないようにと)、餌としてダンゴ虫をせっせと持ち帰っていました。また、ある星組の男の子は持ちかえったダンゴ虫をお世話して、赤ちゃんダンゴ虫と出会ったり脱皮する様子を目の当たりにしました(連絡帳)。むやみやたらに捕まえては持ち帰り、お母さんを驚かせ困らせてしまっているのではと思う節もありましたが、ご理解ご協力ありがとうございました。

★「あまり姿を見せずドキドキしたけれど ちゃんと『その時は来る』ってスバラシイ!!」
昨年10月、保育者がたまたま園庭で発見したカブトムシの幼虫2匹が羽化しました。
お泊りキャンプの頃「カブトムシ」になると話してはいたものの、飼育箱の臭いがカブトムシ臭く(!!)なってホッとしました。でも、なかなか出てきません。星組の子に話しても「何のこと?」と言った様子。「この臭いがカブトムシになりましたという証拠なのよ。」「…(クンクン)…?」「カブトムシは夜元気に遊ぶんだよ。みんなが『おやすみなさい』って寝る頃にね。」「ねんねする頃?」「そうそう…。」
次の朝、初めてその姿を目にして、大興奮!!でした。(虫好きにはたまらない…)
フリー  深谷幸代

つくしっこクラブ
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