2014年12月号

心のなか


クリスマスまでの4週間は、アドヴェントの期間です。イエス様のお誕生を待つ日々。その間に子どもたちは心のなかにサンタクロースを招き入れるお部屋を育てるのです。そこは想像の翼を広げられる空間です。
苦しいことやつらいことがあった時、今私は碧く輝く海の波間に漂って、いるかとおしゃべりしているのよ…とか、柔らかい風になって大好きなおばあちゃんの家まで飛んでいっているんだ…とか、そんなふうに想像して心を落ち着かせたり、慰めを得たりしたことはありませんか?また、子どもの頃のなつかしい光景にフィードバックしたり、出かけた先の美しかった光景が思い出されたり。
実はこんな心の働きが、ストレスフルな現実から身を守る大切な役割を果たしているのです。小公女のセーラから近くではハリー・ポッターまで、この想像力で困難に耐えることができたのです。今、目の前にいる子どもたちの世界は、今の子どもたちの想像力が働く世界です。妖怪ウォッチしかりです。スーパーマリオしかりです。
大人が作った世界は子どもを支える世界になります。妖怪は不気味な存在ではなく、おもしろい相棒となったようです。「先生、ぜーんぜん怖くないんだよ。」百里基地があり、自衛隊機が園庭の上空をよく飛んでいく近頃は、4歳児の男の子でも、「自衛隊いってらっしゃ~い!」「ぼくも大きくなったら自衛隊に入るから~」と、国家が喜びそうなことを想像の翼を広げて叫んでいることもあります。自衛隊に入ったらどんなことをすると思っているの?という私の問いかけに、Yくんは「戦車に乗って敵をばんばん打つんだよ!」と平和な国に暮らしている私たちの幼子は、単純に答えてくれました。傍らにいたMくんが「え、日本は戦争をしてないってお母さんが言っていたよ。」「そうね。戦争をするって事は、大砲が飛んできて、体のここに穴が空くってことだものね。」「じゃー悪い人に向けるよ!」「この人が悪い人だって、誰が決めるのかな?私がYくんは悪い人ですと言ったら、もう悪い人になっちゃっていいの?」「え~それはやだな…」「雪で道路が通れなくなって、食べ物が車で運べなくなったら、自衛隊の人が活躍して道路を通れるようにしてくださっているから、体を鍛えておくといいんじゃない?」そんなやりとりを空の爆音から想像して広げたりしました。
サンタクロースを招き入れる心のなかに満たしたいのは、ボルデモートの悪意に満ちたにくしみより、家族の愛です。笑いです。美です。
園長  松本 晴子

12月の幼稚園


★色んな形で支え合う★
クリスマス会で行う劇の個人練習をした時の事。当日が近づき緊張が高まってきたAちゃん(5歳児)でしたが、堂々とできるようになってきていました。ここは繰り返しの経験で自信を持ってもらいたいところ。「せっかくだからお客さん呼ぼうか?」と提案すると「いいね!」とAちゃんとBちゃん。1度目のお客さんは5人くらい。拍手をもらって自信を持ったのか二人は「もっと一杯呼んで!」と。お客さんが15人くらいに増えました。二度目の披露にまた拍手。喜んだBちゃんから「○○の歌も歌いたい!」との事なので、「それならお客さん達も歌いたい方はステージにどうぞ!」という事にし、今度はお客さんもステージに。個人練習はほんわかとした発表会ごっこのようになりました。
こういう機会を通し、Aちゃんが自信を持てると良いなと思います。それから、「私を見て!」という気持ちを引き出し、喜びのエネルギーを放出してくれたBちゃん、一緒に練習してくれたCちゃんに感謝です。そして、純粋に“見に”きてくれた子ども達の気持ちが嬉しく、有難かったです。人はこうして色んな形で支え合っているのですね。練習後、Aちゃんは言っていました。「皆がいるから頑張れたの」と。


★ソーダ味だったらいいのにな★
澄んだ12月の空気と雲一つない青がきれいな空の下で。ブランコをしていたD君のつぶやきです。
「世界は青いね。空がお菓子だったらいいのに。ソーダ味だったら、木から登って食べちゃうのにな」
一生懸命ブランコをこぎながら、こんなに素敵な想像を巡らせているなんて!一緒に空を見上げました。


★豆腐は海にある★
通園バスの中で海の中の生き物について話していました。
「わかめ。タイ。イカ。まぐろ。くじら。鮭。かに。貝。ラッコ・・・あとは・・・」
その時、E君発言!「あとね、豆腐だよ!」「とうふ???」「うん。そうだよ。豆腐はねぇ、ワカメと一緒にお味噌汁に入っているでしょう?だから海にあるんだよ!」
なんて面白い想像の繋がりでしょう!

小林 悠子

つくしっこクラブ
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