2015年3月号

送 別


卒園式も終了式も終わって、一日15組までのかんがるーくらぶが、園の片隅で開かれています。にぎやかで勢いのある平常とは異なって、山間の小さな保育園のような雰囲気です。普段は気性がきつくなることがあるお子さんも、なんだかのーんびり動いています。こういう時間って、大事だな~と感じます。家庭にいたいかもしれないけれどおうちに都合でいられない日には、家庭的な雰囲気に勝るものはありません。最近食事に神経質になっているメンバーがいるのですが、「あ!もう食べられる!」という声が出るまでお弁当を開くのを待ってあげられるのですから。通常では降園時間が迫っているので、そんな雰囲気は持てないのです。水戸幼稚園の枠もそう見れば、まだまだ狭いのでしょう。◯◯なら助けられたのに、△△だから気持ちを救えなかったという場面は、一年間の間に色々あったのだと思います。お子さんも、保育者も、保護者もそれぞれ人間ですから。すっきりうまくいく場面はそうそうなかったことでしょう。今日は本当にいい日だった!という幸せな日。そして小さな幸せと小さな苦労を混ぜ込んだ大多数の日。そしてめったにはないけれど、不運ばかりを感じる日。それぞれを通り過ぎて、今がある。そう思います。
卒園して体育くらぶに通ってくるメンバー。小学校へ行ってからの成長した姿。ドッチボールの試合でも、本当はとってもうまいのに、1,2年生には加減をして間合いをとってくれていたり。縦のつながりの中での育ちが伝わってきて、指導してくださっていた教師と目を輝かせてその喜びを確認し合いました。
そう、これからにいくらでもチャンスはある!根っこはきっと張っていますから。そしてこの園で一日の多くの時間を費やしてくださった素晴らしい保育者。新しい旅立ちに園から巣立っていく先生方の心の中に、宝物が一杯詰まっていることを信じて、送り出したいと思います。
園長  松本 晴子

3月の幼稚園


★私に起こったこと★
日々子ども同士のいろんな場面に遭遇しますが、時には自分に起こることもあるのです。
階段でA君が突然怒り、泣きだしました! 話しをきくと、A君は警察ごっこで落としもの探しをしていたとの事。その小道具であった落とし物を私が持っていってしまったというのです。
A君は言います。「他の友達は持っていかなかったのに、先生は持っていって嫌だった!」「そうなんだね。ごめんね。でも私は本物の落とし物かもしれないと思って届けようとしたの。A君の捜し物と本物の落とし物を私は見分けられないんだ」「でもね!でもね!」とA君。A君の気持ちは良くわかりました。一方私にも伝えたいことがありました。“置いてある物は誰が何のために置いたのか、落とし物なのか周りにはわからない”という事も知ってほしい”という事。そこで私の提案です。「そうだ。良い物作ろう!」
すぐに数枚のカードに“けいさつごっこ さがしもの”と書いて「今度はこれを捜し物と一緒においてもらえる?そしたら私はよく分かってA君の物はそっと置いておけるから」と伝えました。A君は納得してカードを持っていきました。
子ども同士でもこんなことがよくあるのですが、今回は私自身に降りかかり、泣いて訴えるA君の顔を見ながら「子ども達はこんな気持ちなんだな」と再確認してしまいました。お互いに自分の想像を超えた出来事でのやりとり。そこが大切なのでしょう。


★許してあげて★
B君はおもちゃを勝手に使った事をC君に注意され、怖じ気づいてしまいました。私は仲裁に入りましたがその後もB君は涙。重い空気が漂いました。その時、それまで側で遊んでいたDちゃんが急にC君の腕を掴んで言ったのです「・・・・・・・!」実はDちゃんの言葉はまだ少し不明瞭で、確実には聞きとれなかったのですが、それでも私にはこう聞こえました「ゆるしてあげて!」
「Dちゃん、『ゆるしてあげてって言ってくれたの!?』」「うん」とDちゃん。強い正義感です。“とても悲しんでいるからもう許してあげてよ”と、Dちゃんの心の声が聞こえてきたようでした。
不明瞭ではありますが、まっすぐな意思のある声はとても力強いものでした。何より、友達を悲しみから助けようというDちゃんの気持ちと行動力が嬉しかったです。私は「B君の事を気に掛けてくれてありがとう」と伝えました。B君にもきっと届いたと思います。


★鬼は嫌★
仲良くなってきた女の子3人(年少児)の氷鬼の鬼決めです。「お・に・き・め・よ!」と指さしするのですが、誰に当たっても「鬼はいや~」と決まりません。
どうするのかな~、と見ているとフラフラ歩きながら悩んだ結果・・・氷鬼をやっている別のチームに三人揃って入れてもらっていました!そのチームではもう鬼が決まっているので、すっと入る事ができました。こんな悩み解決もあるんだ、と私の方が驚きました。

小林 悠子

つくしっこクラブ
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