ひたひたひた
冬の林はひんやりしっとり。
ちょっと一人になりたかった彼と一緒に、
ひたひたひた
とスロープを降りる。
「うひょるるる~」
「なんの声?」
「鳥 かな~」
「 がさ 」
「今さ、あそこに天狗がいるんだよ 」
最高に感じたのは、おたまじゃくしの卵をみつけ、
おたまじゃくしの側から私たちを想像したこと。
ガラス玉のような卵の側面にすり寄って外を見つめるおたまじゃくし。
「あ!あそこにおっきい目玉がある。」
「ほんとだね!何だろう?」
「でっかいね。」
二人のハートは満たされました。
こんなこと、当たり前の楽しみなのに、今の世の中は当たり前ではないのです。