先日、悠仁親王の「成年式」が報道されていて、画面をしばらく見つめる時間がありました。身近な住まいの中に水場があって、トンボがよく飛んでいることから、トンボ採り、そしてトンボの生態へと興味は広がり、今では大学で専門にトンボの世界を探求しているとのこと。そういえば、7月の休日。県立図書館での暮れなずむころ、5,6歳くらいの男の子が長い柄の捕虫網を芝生の上でひとり振り回していました。西からの光にきらきら輝くトンボの群れを追いかけていたのです。何度やってもつかまらず、それでもまた立ち上がり、また捕虫網の中を確かめて。すると、急に飛び上がり一目散に遠くにいる誰かの所へ走った行きます。お父さんのようです。興奮のかたまりで網の中につかまえたもののことを伝えている様子でした。西からの斜光が親子と原っぱと高い空とをやさしく包んでいるようでした。
悠仁さんのお父さまも、彼の話によーく耳を傾けるスタイルをとり続けたと、どこかに書いてありました。そのようにして家族に付き合ってもらいながら成長した幼稚園の卒園生のKくんのことが、4月の朝日デジタルに載っていました。Kくんはアリをずーーーっと追いかけています。特にアミメアリだとか。Kくんも今は大学生。でも園にいた時は今いる園のメンバーのように、地面や捕虫網に顔を寄せ付けて、誰かとその前にいる未知のものをみつめどきどきしていた一人だったことも、思い出されます。 松本晴子