入園して2ヶ月くらい経つと、日本はちょうど梅雨期に入ります。この季節の変わり目は、田畑にとってはなくてはならないものです。作物を育てるプロの方々は、天候を、育てている植物の視点で見ることが自然にできるようです。育てているものが生き生きと伸び、喜んでいるか、SOSを出しているのか、じっと見てその姿から声を聴くのだそうです。
実は私たち人間を育てるものも、同じような視点が必要です。特に保育を生業としている私たちは、例えばBさんの目に見える行動の内側に潜む、そうしないではいられない何かを、想像し、言葉にしてみることが大切になります。エンエンと泣き続けている時は、「泣かなくていいよ」ではなく、「泣きたいんだね〜。悲しいのかな。おうちにすぐ帰れなくて。」「本当はママと一緒にここで遊べると思っていたのかもしれない。」と周りの不思議そうに集まってくるギャラリーに呟きながら、Bさんと巡り歩いていたりします。そうすると必ずと言っていいほど、クスッと笑って「そうだよね〜」と短い言葉と全身で寄り添う子どもたちの姿があったりします。
子ども同士の寄り添いの瞬間を見ると、年上のその方も時として内側からの怒りや寂しさに打ちひしがれる体験があった方がほとんどです。そして大事なのは、養育しているものやその場の仲間の適切な関わりによって、その方も安堵を得る体験をしている場合が多いことが見てとれます。そっか〜誰かによって安心を得る体験が、次の相手の『安心』には必要不可欠なんだ。
雨の多くなる、室内で密になりやすいこれからの季節。いきものとしての私たち人間が安心を得る工夫がいる季節。難しけれど様子を見ながら探っていこうと思います。