遊びの中にこそ
10月の後半になりますと、小学校へ出かける機会がやってきます。そう、就学時健診ですね。
幼稚園での生活はとても楽しいようですが、それもいつかは終わり、小学校へ行ってその生活スタイルに慣れ、机上での学びに親しんでいくことが必要になってきます。当園では年長児になると、最終的には自分とは違う考え方や遊びを展開していても、そんな仲間と一緒に生活を創りあげていく一体感や達成感を味わっていけるようにと、考え保育をしていきます。裸足で庭で過ごし、エネルギーを出して遊び、くつを靴箱へしまうこともせず、保育室へかけもどってくるお子さんであっても、少しずつ少しずつ社会でのマナーを学び、気持ちよく過ごすための方法を繰り返し繰り返し考えさせながら、就学へ向けての意識のつながりを持たせるように運んできました。入学してしばらくは戸惑うのがあたりまえなのです。高校から大学に入学して戸惑わない18歳がどれだけいるでしょうか。ましてや6歳の人間が戸惑わないわけないのです。ただ一定期間経てば、それを通り越して順応でき、学校の学びにも教師の話にも耳を傾け、興味の芽を伸ばしていくことができれば心配はいりません。学校側も現代の風に吹きまわされて、運営しにくい時代ですし、そこに集う大人も不安なのだと思います。そんな中各小学校も幼稚園・保育園での教育とのつながりを生かしての1年生の生活を考えたいと模索しているようです。
11月に年長児全員が市内の小学校の1年生のあるクラスと交流会をさせていただきました。心地よい緊張の中、子供達は一言最初のお子さんに声をかければ、次々前の仲間のやったことを見て靴をそろえて置き、1年生の先生の指示に耳を傾け、交流するひとときにはリラックスしながら熱心に遊び、ものおじもほとんどせず帰ってきました。もちろんたくさんの大切な仲間と一緒であり、保育者も見ていてくれることを知っているからではありますが、幼かった子供達がここまできたかという感慨は深いものでした。遊ぶことが中心な中で育っても、家庭がしっかりしており、根っこが張ってきているお子さんは心配ないのです。
園長 松本晴子
お水の色は?
ある金曜日、こんな事がありました。年少のB君がペットボトルをほしいというので渡してあげると、拾ったどんぐりと水を入れました。水がたっぷり入るとペットボトルに顔を近づけて「あれ?茶色くならないね・・・」と言うのです。私は意味が一瞬分からなかったのですが、B君は茶色いドングリと水を合わせれば茶色の水になると想像した様なのです。私は思わず「あー、そうなんだ」と大きく頷いてしまいました。何て面白い発想なのでしょう!ドングリと水が混ざった瞬間、茶色の水になる発想なんて私にはできないと思ってしまいます。どうしてこんな想像をしたのでしょうか?
1つ思い浮かんだのが色水遊びです。しばらく前に園庭の花や葉っぱをすりばちですり、色水を楽しんだ子ども達。濃縮された液体に水を入れては色水を増やし、大量のジュースにしていたのです。B君の想像の元にこの経験が活かされていたとしたら、とても嬉しい事です。子ども達はこんなふうにちょっとした遊びにさえも色々な事を頭に巡らせているのですね。
後日談:自分の想像とは違った結果に終わったB君はすぐに違う遊びを始め、ペットボトルは靴箱の上にポンと置かれたまま。しかし、起きっぱなしにした事でどんぐりがふやけ、休み明けの月曜日茶色に変わっていたのです!茶色い水を見て分かった様な分からない様な不思議な表情をしていたB君でした。