関わり合いの深まる秋
冷気に身が引き締まる秋空の日、幼稚園の庭の一隅でたき火をおこし、さつまいもをホイルで巻いた物を子供達とくべて、焼き芋パーティーをしました。全園児の分、おかわり分、職員分に近隣にお裾分け分と200個近い切り分けたお芋を熾火で焼きました。たき火の熱さの中、子供達の喜ぶ顔が見えるのは、焼く私にとって、とても励みになります。
それを持って、消防署へとお裾分けに向かう5歳児さんにくっついていったのですが、近隣の方々の何気ない優しさとふれあう子どもの姿に、成長を感じました。
大好きな歌に2番、3番と替え歌を作詞していく女の子2人組。それを前で聞いている男の子達の大うけする姿。この歌詞でも作ってとリクエストするクラスメートに快く応える2人。お豆腐屋さんの前では水につかっているぎんなんを見つけて、「わー、ぎんなんだ!」という私の声に皆寄ってきて、お店の奥様も出ていらして、知っている限りのぎんなん談義。ごみの収集をしている方々にも興味が持てるかな?と収集車の中で袋が潰れていく様子に驚きを見せると、実況しはじめる男児が現れて、皆じっくりながめてしまいます。市の職員の方が振り返って、にっこり笑顔で「こんにちは。」と言ってくださると、「いつもありがとね。」と返す男の子がいたりして、きっと大人の彼も小さな幸せを感じたのではないかしら…と、私も幸せな一瞬を味わいました。床屋の前では大きい金魚に見とれ、自動販売機は一応多くの子がボタンを押してみて、やっと消防署の玄関に到着。お兄さん、ベテラン消防士さんと関わって、トイレも借りました。工作車の前で写真を撮っていただいて、ぐずっているTくんには気遣って話しかけてくださるベテラン消防士さん。それにいつのまにか応え出すTくん。行きだけでなんと様々な出会いと体験があったことか。そしてそれらを共有したがる5歳児の面々。体験を共有している心地よさが、秋の日差しとあいまって、この時期のおもしろさを象徴しているかのような小一時間でした。順調な育ちに感謝です。
園長 松本 晴子
「できないから、やらない」が「練習すればできる」に変わる時
9月から体力を高めようということで、保育のアクセントとして意図的に組み入れられた活動(縄跳び・ボール遊び・ジャンプ・ぶら下がりなど)に子ども達は取り組みました。そんな中から少しお分かちしたいと思います。
A君の場合
【1】縄跳びを続けて跳べないA君に「一緒に練習しよう」といくら誘っても、返事は「できないからやらない!」―――10月に入って、仲間と一緒に長縄跳びでリズムよく跳べるようになったのを見定めて、改めて練習に誘ってみると、渋々自分の縄を持ってきました。1回は跳べています。数分のうちに2回跳べると、A君の目の色が変わりました。―――次の日、「夜、8回跳べるようになった。」と報告があり、さらに記録は更新されて、帰る前には22 回。1週間もしないうちに駆け足跳びや後跳びもできるようになって、気が付けば「練習すればできるようになるよ!!」(あれ、どこかで聞いた言葉…)と仲間を教え励ましていました。
【2】A君が連続跳びが出来るようになったと聞いて、B君も練習を始め、その日の内に8回跳べるようになって張り切り出しました。仲間も2人の姿に注目!! 食後には、A君とB君と他の仲間が揃って跳んでいました。
変われば変わるものです。A君は苦手なキノコも食べられるようになりました。A君のグループの残食も激減!!A君の喜びの波紋が広がって、仲間も刺激を受け互いに切磋琢磨(!?)する雰囲気が生まれてきています。一人が変わると仲間も変わるんですね。変えられてゆくプロセスを目の当たりにし、保育者としての幸せを感じました。
深谷 幸代