安心を見つけたい
4月、春爛漫のこの時期は、進級時も新入児もかちかちに緊張しながらも、なにか取っかかりを見つけて、安心したいのだと感じます。例えば新入のMくんは、毎朝同じD先生が門の所に居ることによって、ほっとします。この時期はポールにあがっている鯉のぼりを確認して、いつもと同じだ!と安心するメンバーもいます。余談ですが先日一匹しか上がっていなかった日は、大変不思議がっていました。もちろん訳は話さず、自分で疑問を払拭できるようもっていきましたが…。
進級時でも去年幼虫を探したあたりを掘り返すことで、自分の見知っている自分の幼稚園という確認をしていることが伺えます。5歳児が手を挙げて、夏に食べられる野菜を考えて発言しています。普段思いつかないからか、間違えることを指摘されるのを恐れているからか、手を挙げようとしないY君のそばで、私がおもむろに「レタスなんかもいいわよね。」とつぶやくと、いきなりハイハイ!と手を挙げて、ちゃっかり「レタス。」と答えて認められて満足する姿もありました。色々な支え方が、その場その場で必要です。安心を得られる取っかかりをと心を巡らすことは、やりがいのある保育者の働きだと感じます。温かさとそれに必要な秩序を思い巡らしながら、緊張の谷間を行ったり来たりする子供達の春を支えてまいりましょう。
園長 松本晴子
3月に卒園児を送り出し、4月から新入児と進級児の新しい生活が始まりました。何年この仕事をしていても、新しいお子さんに出会う4月は初心に返ります。新しい子ども達と向き合いつつ、1年後の子ども達の姿を思い描きます。子ども達はどんな自分になりたいと思っているのでしょう。子ども達の成長を保障する、より自由で楽しい生活をどうやったら創ってゆけるか、数え切れない試行錯誤が、また始まります。
そんな毎日から、早速ですが、新学期早々のエピソードをお分かちいたします。
「外が見たかったのに…………。」「ごめんなさい!!」
シールはどこに貼るのかな? そう、そこだね。お星様描いてあげるね。カバンはどこに掛けるのかな………。覚えているんだ。(外を振り返ろうとするBちゃんの視線を遮るように、身支度に気が向くようにとさり気なく体を入れて………)帽子もフックに掛けちゃおう。よし、これでお外で遊べるよ!!(おや、表情がおかしい……!)靴を出そうとすると─────「外が見たかったのに…………。」と、涙…。「ごめんなさい。外が見たかったんだ………。」外を見てから帽子を掛けても良かったのにね。ごめんなさい。ちゃんと教えてくれてありがとう。Aちゃんはしばらくテラスに座り、気持ちを立て直してから、ブランコに向かいました。
よかれと思い、一秒でもたくさんあそべるように、効率のいい動き方(これを子どもは生活の中で全く意識してはいないのですが、毎日繰り返す生活の中で洗練され、結果として獲得してゆくもの)を伝えようとして子どもの自由さを奪ってしまいました。子どもの思いや力を信じ、もっとゆっくり構えて待って(好きなようにさせて)あげるべきでした。
心が通じ合うって素敵なこと。一度味わったら忘れられないあの関係を築く迄、うまくいかないことや失敗にめげず頑張ります。
深谷 幸代