2011年8月号

夏の終わりに


8月の終わりに夕涼み会がありました。保育者だけの手作りイベントです。震災後のこともあって、始まりとおしまいを早めたりしましたが、美しい夕暮れの空と暑さの和らいだ風。薄暮の中のちょうちんの薄明かり。家族同士、子ども同士、「またねー」と声を掛け合いながら家路につく姿。あ~夏が去っていく…っと、終了後胸が熱くなりました。震災後から些細なことで胸がいっぱいになってしまいます。なんやかんやあっても、平和をありがたく思わずにはいられません。
そういえばこういう行事の時は、いつもとちがう環境に戸惑う姿が、幼子にはあります。それはあって当然の姿です。かっこも違う。僕のクラスもない。時間も光の様子もいつもどうりではない。そういうことを敏感に感じ取れる感性があるんでしょう。私は受付でそんな緊張をほぐそうと、個別に声をかけていくように努めました。帰るまでに少しでも笑いがこぼれるようにと。お母さんにべったりで、遊べるかな?と気にかかったDちゃんが体を弾ませて迷路コーナーを飛び回っていました。卒園生がしっかりした口ぶりで、2年前とは雲泥の様子で、遊びコーナーの場面をしきっていたり。色々あってまぶしく、おもしろい子どもたちでした。今日うまくいかないことがあってもいいんです。明日はまだ失敗のない新しい日なのですから(笑)。何度でもやり直せばいい。そう思います。
園長  松本 晴子

僕、今ならできるよ


時々保育者の間で、子供たちのコミュニケーションについて話題に上ることがあります。なぜ意思表示が苦手なのか、Bちゃんにどんな意思が芽生えているのか・いないのか、どんな方法で示していくのがよいのか・・・突き詰めれば大人同士がどんなコミュニケーションを日常とっていこうとしているのか・・・大人が子どもたちに与える影響は・・・等々。子どもたちには、自分の心に浮かんだものを人に伝えることをたくさん経験してほしいと思います。「いい」も「いや」も「こう思う」もです。そして、大切な思いとして受け止めてもらった安心感や喜びを味わってほしいと思います。これは自分を形作る上で大きな自信や道しるべにもなることでしょう。
夏休みを終えて幼稚園に戻ってきた子供たちからはいろんな部分で変化を感じる毎日です。中でも友達や保育者との関わりの中でちらりと見える成長。「気づいていない友達に声をかける」「相手の話を聞いて判断する」「遅れている友達を待とうと周りに声をかける」「友達のやりたいことを手伝おうとする」等、相手を思いやってコミュニケーションを図ろうとする姿は見ていて何とも嬉しいものです。
心に残っているのは落とし物のハンカチをA君が届けてくれた時のこと。届けてくれただけでも嬉しいのですが、少しするとA君は走って戻ってきて「僕、今ならできるよ(Cくんに届けられるよ)。」と言い、私からハンカチを受け取るとあっという間に走っていきました。その自然な姿に、私は「ありがとう!」と心から声を掛けました。
「 僕、今ならできるよ 」・・・いい言葉だなぁとしみじみ感じます。大切なのは大人の手伝いができることではなく、自分が「今」できることを考えて行動すること。自分の考えと行動を認められ、喜びを感じられたなら、その子はきっと今よりもっと外の世界へ走り出すのでしょう。心地よいコミュニケーションの一時でした。
小林悠子

つくしっこクラブ
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