Sense of Wonder
7月の5日~6日と、無事に一泊二日のキャンプが終わりました。5歳児の面々は4歳児の時から年長さんになったらね~と、良くも悪くもお泊まりのことを思い浮かべるようです。今年は2年、1年在園している間に、生き物が好きになったメンバーが多く、まだカブトムシが少ないシーズンであることを素直に受け入れて、王者の甲虫たちではない生き物に心をときめかせて、過ごしました。かえる、かに、かなへび、ほたるもどき、バッタ、おたまじゃくし、やご、しおからとんぼ、地蜘蛛、蝶。きのこ、ほたるぶくろ、あざみ、苔、地味な小さな花たち。
キャンプ後に園で意識されだした生き物が、かなへびです。キャンプ前に保護者の方から頂いて、しばらくはおもちゃのように見られていた日々が2週間くらいありました。ケースに入っていて土と葉っぱはあっても、えさなしでだんだんやせ細っていきました。(でもすごい生命力!)。キャンプ後、そのクラスに関わる保育者が蜘蛛を食べると聞いてきて、かわいそうだからと園庭で小蜘蛛探しを始めたことがきっかけで、変化が起こったのです。小さな小さな2匹の小蜘蛛をかなへびは必死な思いで口に入れました。「食べた!!」生きている生き物を生き物が食べるということを目の当たりにして、それも本当に飢えていて我慢できずに飛びついて。。。という姿を知って、子どもの中に同じ生き物としての共感が芽生えたようなのです。それからというもの、虫好きの男女が家庭で生活する間に見つけた小さなバッタや蜘蛛、だんごむしが、同じ生き物としてかなへびのケースに放されるようになりました。かなへびは己の力でバッタを食べれば体格がよくなっていき、満足げに見えます。子どもたちに食物連鎖の話はまだぴんとはこないかもしれませんが、自らに必要な分だけを慎ましく頂き、満足を得るかなへびの姿を心に留めたことは、大きな学びです。今、夏休みを前にしてかなへびくんをどうするかを、5歳児メンバーで話し合っています。この話し合いを重ねる時間も素敵です。お仕着せの教育ではなく、生活する中からの子どもの興味が、大人のちょとした教育的配慮によって思わぬ方向に広がっていく、そのことが素敵なのです。
園長 松本 晴子
心の声を探りつつ
「あなたの体はあなたの食べたものでできている」という味の素のCMコピーが気に入りました。繰り返し口ずさみながら、一捻り!!「あなたの心はあなたの涙(感動や歓喜含む)でできている」… いい感じじゃないですか。勝手に「一捻り」してしまいましたが、本当に人の心はいったい何からできるのでしょう。また、それとは別に、相手の心の声を正確に知ることができたら、もっと楽に生きられるのになんて思ったりもしています。相手の気持ちも分からないのに、「誰かに知って欲しいこの思い」なんて…。知ってほしいのに気付かれてしまったのかとドキッとしたり、心を覗かれてしまったような気がして心配になったり、心とは勝手なものです。傷つきたくはないけれど、それでも誰かと繋がりたい(=分かり合いたい)のが、人間なのかな~。
さて、子ども達も日々、自分と相手の心の声を探りつつ試行錯誤を繰り返し、人と繋がっていくための経験を積んでいます。どこまで、心のセンサーの精度を上げていくのでしょう。楽しみです。(私も負けてはいられません。)
【1】 心の声は届かない?!
「Hちゃんにフンと行かれちゃった!!」と5歳児のIちゃんの声…。さっそく、両者の話を聞いてみました。Hちゃんはブランコから離れた所からずっと「私も乗りたい~(念力)」と仲良しJちゃんを見ていたらしいのですが、乗っているIちゃんには念力は伝わらず、「Hちゃんどうぞ!」と代わってあげた時には、Hちゃんには一方的な怒りのドラマができあがってしまっていた、というわけです。相手が好きだからこそ以心伝心して、「私の思いを感じ取り、それをかなえる様な行動をとって欲しいと願う」のは、すごく日本的です。「私もそれじゃわからないなぁ。声に出して言われなければわからないよ。」と私がOh! No!のポーズをすると、先生だって分からないんだと思うと緊張が解けてゲラゲラ笑い出し、一件落着となりました。(自分の思いを伝えるのは難しい。お互いめげずに頑張ろう!!)
【2】 心の声を聞かれてしまった!?
「ミスをしたかもしれない…(仕事のことで突然あることを思い出して…)。」という思いが一瞬私の心をよぎった時でした。「先生どうしたの?」と3歳児のJ君。何かあったのかと心配そうに私の顔を覗き込んできました。私が余程微妙な表情をしていたのでしょう。とっさに「お腹すいたなあ。早くお弁当食べたいなあって考えていたの。」と言って、その場を取り繕ってしまいました。みんな遊びに夢中だったはずなのに、どうしてJ君は私の表情に気付いたのでしょう。すごいセンサーです。広い園庭の中に立つ保育者を見ていないようで見ていたんですね…。 (私を気にかけてくれて、ありがとう…!)
フリー担当 深谷幸代