優しい住処
消防署へ見学に出かける日は、雨が降ったりやんだりのはっきりしない天候でした。それでもわくわくするようで、直前のざーざー雨のためレインコートを身につけて、歩いて消防署まで出発しました。一列で一方通行の道を車が来る方に向かって歩きました。おしゃべりは控えて歩きましたが、所々にあるミラーに反応して、「自分を見よう!自分を見よう!」とコールがわき起こり、鏡に映る自分たちをチェックするなど、おもしろいことをすぐ思いつくようでした。信号を渡るところでは、以前に比べ歩行者が青で渡れる時間が長くなっていました。普通に歩いて50人近くがいっぺんで渡れたのです。このように生活している人の視点で改善が成されていると、ちょっとした変化なのにすごく安心するのです。「はやくはやく!」とせかされず、子どもたちも自分で周りを見る余裕がありました。
消防署も、見学する企画が5才児に合わせてしっかり準備されていて、子どもたちの知的探求心を満たしてくれました。前に立たれた消防士の方が素晴らしくて、子どもの応答を「そう、そうだよね。」と受け止めてくださるのです。決して子どもだからと軽く扱うそぶりを見せませんでした。おちゃらけることも基本しませんでした。一人の人間として大切に出会ってくださったのです。シャワーを浴びているときに指令が出たら、濡れた体のままで消防服を着て出動すると、子どもの質問に答えて話してくださったときの、子どもたちのびっくりした表情は、忘れられません。生活に密着して仕事をしている生身さを、少し味わうことが出来ました。そしてこのことが、いつもありがとうという想いにつながるように思いました。
水戸市の街が地域が、こんな風に優しく機能すると、きっと愛着心も沸いてきます。もっと大きい愛国心なるものは、自分が生きてきた居場所でどれだけ包まれてきたかで育まれるものだと思っています。決して授業で教えられるものではありません。「いい国だよね日本は…」とつぶやけるには、日本は今、利己的すぎるかなというのが、正直な気持ちです。あ~~ 残念。
新人の悩み事
「先生!」
あ、私じゃないか。。。
「おはよ~」
おは… スルーされちゃった。 4月当初。
今では目をきらきらさせて、満面の笑みで、「A先生、見てて!」と必要とされている毎日。立ち姿も変わりました。
園長 松本 晴子