2016年8月号

それぞれの居心地


夏になって密かに嬉しいことがありました。それは園庭で遊び疲れて、お部屋に入った子どもたちが食事の準備をしている、人間のいない静かな庭で起こりました。
「とこん、とこん、とこん。」と二本の足で跳ねながら、夫婦であるような二羽の鳥が、庭を散歩しています。一羽はやや大きく、もう一羽はやや小柄。色は黒くて。。。そう、からすです。二羽は穏やかに肩を、いえ羽を並べて歩んでいきます。仲むつまじい空気が漂っています。幼稚園の庭は、子どもたちや、人間だけのものではないんです。私はそんな空気感が大好きなんだということに、この光景を見て、気づいたというわけです。

ショウリョウバッタや松虫、今はタテハチョウがひらはらひらはらと、オレンジの羽をひらめかせて飛んでいます。とかげやかなへびが緑の葉陰に瞬間しっぽを見せ、ゲリラ豪雨のあとには、ひきがえるが絶命していたり。名を知らない生き物がたくさん暮らしている。この庭で一緒に。それぞれがいっとき一緒にいていいよ~という居心地のよさがある。だからカラスはとげとげした面持ちではなく、穏やかだったのかな。プールが終わった後の水を使って、水浴びする姿も見かけました。分け合えるって嬉しいことです。いろいろ使ってもらって捨てる方が、どれだけ豊かなことか。そしてきっと他の生き物の使った後の何かを、私たちも巡り巡って恩恵として受けているんだろうな。。。そんな感覚も、立ち上がってきました。

キンダーガルテンにまた子どもたちが戻ってきます。2学期です。秋。ドイツの教育思想家 フリードリッヒ.フレーベルが、遊びを通して子どもの心理的人間形成をはかる場として、幼稚園のもとを作ったことは、知られていないかもしれません。彼は野山を、自然をとても愛していたそうですし、宇宙のつながりの中に生かされていることを学ぶのが教育だと、考えていましたから、庭の居心地を少しでもいいものにしていきたいな~と思います。2学期もファイトです。

園長  松本 晴子

つくしっこクラブ
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