去りゆく

水戸幼稚園は、生き物の飼育が盛んな状況ではありません。そんな中、もうすぐ7歳というセキセイインコの『はく』ちゃんが、幼稚園のメンバーでした。ろうかのテーブルの上のゲージの中で、いつも鏡の中のもうひとりのインコに話しかけていました。それから保育室の中から。子どもたちの歌声が聴こえてくると、「ぴゅるるるる~ ぴゅるらるり~」とよく歌いだしていました。よろこぶからと!(本当は怯えてバタバタしているのだけれど)、かごをカタカタ揺らす子どもたちも、しょっちゅういました。長い年月には皮膚の病気になって、獣医さんに連れて行ったこともありました。そんな『はく』が、1月のある朝、かごの中に倒れて息を引き取っていたのです。それは私にとっての突然の別れでした。話しかけることもいっぱいあった癒される存在。。。

 

子どもたちがこのことを知ることになったのは、その日登園してきてすぐのことです。安らかに横たわっている姿を確認し、動かないことを確認し、その日は幼稚園中で子どもたちの はく への言葉が、ささやかれ続けました。自宅でお話しする方、メッセージや折り紙を折ってそなえてくれる方、いないということの受け止めをしたくて、なんでいないの?と何度も口にする方。それぞれの想いの深さと、『はく』の存在がこんなに大きかったことへの驚きと感動で、「はく、よかったね~」と呟いたのでした。

さて、幼稚園では2月にまた大切な方を、天に送りました。子どもたちにはまだ直接お話をしていません。3月の誕生会で思い出を語り、祈ろうと思っています。『はく』のように見送ることができないと、またどこかで会えるようにも思うことでしょう。それでいいようにも思います。まだ、私の心は定まりません。ただ、それぞれの見えない心の中に、その方とのそれぞれの物語があることを知っていることを、感謝したいと思います。   園長 松本晴子