この積み木は童具館のWAKU-BLOCKという積み木です。集団で使えるようにと数十箱を数年かけて購入しました。無垢のかばのきから職人によって作り上げられた童具館の積み木は作りが正確で、重みがあり、安定した組み上げができますから、作ろうと思えば精巧な建造物を幼児でも作り上げられます。童具館のHPを開けてみると、多様な作品が魅力的に登場します。
私が童具館の館長の和久洋三氏を知ったのは、はるか30年前くらいになります。新聞に彼の個展の案内が特集されていたのでした。こういうものとの出会いは不思議なもので、ピンとくる、または心がきゅうとなる、そういう身体感覚が付いて回ります。なぜなのかな~?といつも不思議です。そしてその身体感覚に裏切られたことは、まだありません。和久氏は、人間には創造欲求があって(人間の本質)、それを一心不乱に気が済むまでやることの中に、喜びの本質があると考えている方です。子どもがそういう空気の中に自ずと入ってしまうには、どんなものがよいかと探求し、フリードリッヒ・フレーベルという幼稚園の創始者の哲学を受け継いで、この積み木を考案しました。子どもたちは言葉は発しているのですが、その空間は静かな空間であるように、いつも感じます。こういう統一感がある場面では、必ず違うことを試したい姿が現れます。他者からそれやってみたら。。。というすぐの許容は得られず、ここまで作ったものを守りたいという防御のスクラムが、立ち現れます。その中にあっても、こうしたらどうなるのだろう?という知りたい、試したいという存在者が手を出してやってしまったことでどうなるかがおもしろいのです。大人が「えーこうなったの?ふしぎ~!」と感嘆を素直に表現することで、ほんとはぼくも、私もやってみたかったんだ。。。という、もう一皮内側の欲求を出し始めるのです。周りの方たちの変化。
統一感を求めることでの安心感とそれを壊していくエネルギー、そのどちらも物事を創造していくのには必要なのだと、子どもたちを見ているといつも感じてしまうのでした。さてさてこれからの日本、和久さん、気がかりではありませんか? 園長 松本晴子