新しい年が始まりました。キリスト教界隈ではクリスマスの待降節(アドヴェント)の初日を、新しい年の始まりとするようです。北半球ではどちらにしても夜の長い季節に始まるイメージを持ちます。一度だけ初日の出を見に行ったことがありますが、暗闇から空が深いブルーモーメントを経て水平線にきらめきがあふれるその一瞬に、得も言われぬ感覚を得たのを覚えています。そんなわけで、この写真を年の初めにお供にしました。子どもたちが紙皿をグリーンに手でぬたくって染めたものです。今回それに合わせたものが、アドベントの期間に一つずつ現れた卵型のオーナメントでした。小さな風船の周りにボンドに浸した刺繡糸をぐるぐる巻きつけて、固まったらあとで風船は割って取り出すというものだそうです。その美しさに見惚れました。作成した保育者の方は少しずつ作りためていったようですが、どんな時間だったのだろうなぁ~と想像してしまいます。この仕事に携わったことで経験していく巡り合わせが、子どもたちのみではなく働くお一人お一人にあるのだとしたら、園長としては本当にうれしいことです。
冬休みに、観たかったヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』を拝見しました。彼が神社の境内の木の実生を宮司に断って持ち帰ることを日常にしている場面があります。湯のみ茶碗に土を入れて小さな木の子どもを、他の木の子どもたちと共に想いを向けて育てている場面を、この卵型のオーナメントの作成過程とちょっと重ねてしまうのは、なぜなのかな…?主人公の彼のまなざしは、ほんとうにしあわせに見えるのですよ。 松本晴子