紙製えほん
このところ密かな楽しみが出来ました。それは光組の活動の最後に、絵本を読めることです。絵本の世界は大好きですが、子どもたちに読み聞かせるのが得意だったわけではありません。ずっと昔、保育者一年目から数年間は、気がそれていく子どもたちが気になって、心ここにあらずということがしばしばでした。気になると力んだり、そわそわしたり、いらいらしたり。本当に何十年も保育者をやって、やっと一緒にその世界を愉しむ余裕が出てきたと言えるのかもしれません。それでも、数十名の子どもに読み聞かせしようと思う作品は、自分が安心する大好きな作品に限ってしまいます。そうすると、なんとはなしに昔からある作品が多いことに気づきます。挿絵画家や作家さんには憧れがありますが、とうてい遠い世界に住む方です。でも作品世界はだれのものにもなるんですよね~。
先日読んだ『三びきのくま』は私が小さい頃から大好きなストーリーでした。おっきい、ちゅうくらい、ちいさい、のちいさいがおんなのこ同様によくって、ちいさいスプーンと木のお椀のおかゆにどんなに憧れたことか。おいしいんだろうな~と。。。匂いまでしてくるようでした。大中小の対比があるからこその、魅力だと思います。目の前の光組も大きなくまの迫力につい笑ってしまったり、勝手に家にあがって、使って壊してしまう女の子に同化しながらも、くまに怒られちゃうんじゃないかとどきどきしている空気もすごく感じるのでした。
『ふんふんなんだかいいにおい』は西巻茅子さんの作品です。にしまきさんの作品は、いつも家族、家庭の誰かを想うあったかい気持ちが、底辺を流れているように思っています。色々ご苦労も家庭の中にあったようです。この絵本を見ているときのくいつきは、自分にも身に覚えのある甘酸っぱい想いとつながっているようです。だっこしてと言いたくても、きっと大人にはなんか言われちゃうよね。。。とわかっているからこそ、おいで!と言ってくれたおかあさんに、救われる瞬間があるんですよ きっと。絵本はやっぱりいいです。自分がきゅーんとなる絵本にBくんが、Cちゃんが、Dくんが見入っているのを知ると、一瞬同士になるような。この体感は紙製の絵本に限ります!と言い切りたい秋です。 園長 松本晴子