2004年1月号

3学期になって


 子供たちの日常を見ていると、自分の居場所を見つけている事がわかります。砂場が大好きな子供は、仲間と居ても、1人でいても、黙々と砂や水を飽きるまで感じています。絵本が好きな子は、(読めるという意味ではありません。)2階の絵本のコーナーで柔らかい日の光を感じながら、寝そべってページをくっています。職員室脇の大人用トイレ前の空間は、狭くて暗いのですが、1,2,3人くらいの子供がしゃがんでいたり、おしゃべりをしたりしています。おばけ話などしていることもしばしば。
 水戸幼稚園は、がやがやはしているのでしょうが、3学期は自分で何をしたいかがちゃんとあって、その居場所へ向かっていく姿で一杯です。その居場所にずーっといたいという気持ちわかるんです。せかせかしないで、ゆったり好きなようにしていたい気持ち、大切ですよね。いちごの苗が植わっているプランターに霜が降りていた朝、私が声をかけ、一緒に苗をのぞきこんだ3歳のMちゃんが、「わあー、ゆき。ゆき。ゆきよ!」と霜を手にとって、驚いている姿がありました。ゆったりと時が流れているように感じました。実際はわずか30秒くらいのできごとだったのですが。それだけで、彼女は満ち足りてしまったようでした。他にも10分間羽根突きの相手となり、保育者がすごくのって遊んでくれたというだけで、毎日羽根突きに燃えるようになったお子さんの姿もありました。過去の事となったその思い出の映像が、彼ら、彼女らを支えるものになっていくように祈ります。今の居場所を大切に。

研修を受けて


先日、子育て支援健康講座の研修がありました。虐待についてのお話で、丁度中学生の痛ましい事件が報道された後でしたので、とても他人事とは思えずに聞きました。なぜ今「虐待」が増えているのか。それには先ず、今の親世代の人達が社会的価値観の変成時期を生きてきたという時代背景がある事を知っておかなければならないそうです。昔は何でも自分で体験しながら知っていく、身に付けていく時代でした。しかし、今は手間暇を掛ける面倒な事は軽視されがちで、うまく合理的に動く方が良い、知識さえ知っていれば何でも出来るという事が重要視されるようになりました。育児においても自分で体験し試行錯誤しながら育てていくのではなく、育児書に書いてあるからそうしなければいけない!その通りになるはずである!と、得た知識に頼る傾向があり、考えが縛られてしまう親が多くいるそうです。本来、親になることは自分の過去と向き合うことであり、子供が生まれ親になった時、自分が親からしてもらったこともしてもらえなかったことも全部してあげよう、と子供の頃を思い出しながら育児をしていく。しかし、知識に縛られてしまうと、思うような結果が出ない。「こんなはずじゃなかった!なんで上手くいかないの!」と、気持ちにゆとりがなくなるそうです。すると、この子は何でもやってもらってるのに!得ているのに!何で出来ないの!!と強く感じ、その気持ちが憎しみへと変わった時に、虐待という行為が始まる場合があるのですね。今は核家族となり、身近に悩みを相談出来る人がいないのも問題だとおっしゃっていました。確かに情報が様々な所から入ってくる時代で、その情報に助けられることもあり、知識として知る事も大切です。しかし、それに振り回されるのではなく、上手に取り入れていくことが大切なんだと改めて考えさせられました。又、お母さん同士でコミュニケーションを持つ場を作っていく必要もあるのだと思いました。
 今、育児で自信をなくしていたり、誰にも相談できずに悩んでいらっしゃる方はいませんか?誰かに聞いてもらうことで気持ちが楽になるかもしれません。水戸市保健所の方でも「子育て相談」をしているそうです。気軽にお電話をしてみてはいかがでしょうか。予約制で第二木曜日の午前9時~12時まで臨床心理士、家庭児童相談員等の方がお話を聞いて下さるそうです。

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