2004年10月号

実り


 幼稚園の庭にあったさくらグループのミニトマトも、子供達に「まだ食べられるよ。」と、惜しまれつつもプランターから抜かれていきました。
「このトマト、皮が柔らかくて甘いね。」と洗ってほおばる姿。焼き芋を、あちあちと手を動かしながら、くるんである新聞をむき、口に入れておいしーと笑みがこぼれる姿。たわわに実ったざくろのルビー色の輝きに魅了されて、保育者に取ってもらい、酸っぱい顔をしながら色々なお友達に分け合う姿。丹精込めて育てた物も、自然のうちに光を浴び、地中の水を吸い実った物も、収穫する時は喜びに満たされますね。
 しかし、本年の台風や地震による災害で、あっという間に豊かな実りはなぎ倒されてしまった地域が一杯ありました。その方々の事は重すぎて、何も言えないのですが、幼稚園でもさくらグループで育てていたとうもろこしが、からすにつつかれて全滅!という出来事がありました。楽しみに待っていたのに、水をあげて、かかしも作って、それでも食べることはできませんでした。
 落胆した顔を何人か見ました。実りや、課題の実現は必ずしもあるとは限らないのだと、その横顔を覗きながら思いました。しばらくがっかりしたあと、それでもぼくはぼくでこのことを受け止めていこう…。今ここにいて良かったと感じていけるようになるかどうか。そういう生き方を身につけていってほしいし、これから出会う様々な体験の土台を身につける幼児期に立ち会えることを、厳粛に受け止めたいと思うこの頃です。

実り2


『実り』にも出てきたザクロについて・・・。幼稚園にはザクロの他にびわの木もあります。毎年、びわの実が先に成るので心待ちにしていたのですが、なぜか今年は1つも成りませんでした。その代わりザクロは例年になく沢山の実を付け、実の重さで枝が下がってくるほど。子ども達も「いつ食べられるの?」と、今か今かと楽しみにしていました。特に年長さんは昨年食べた味を覚えているようで「早く食べたいな~」とワクワクしている様子。「実がパカッと割れて中が見えたらね!」と話すと、毎日覗きに行き「まだだねぇ~・・・」待ち遠しそう。小さかった実も少しずつ膨らみ、もうそろそろかなーと思っていた頃、やっと1個割れているのを見つけました。「先生割れてるよ!!取って!」と目を輝かせて報告してきた女の子達。その日から「皆で食べようね」と毎日1~2個収穫し、小さく分けて食べています。一粒食べて「おいし~!!」と気に入った子もいれば、一粒食べて「うぇ~ぺっぺっ」と顔をしかめる子もいて味の反応は様々です。でも、この何とも言えない酢っぱさが子ども達もやみつきになるようです。幼稚園のザクロは、実も沢山成っているからか真っ赤とはいきませんが、何とも酸っぱくてしぶくて・・・でも、癖になる味なんですよ!あと何日くらい食べられるのか分かりませんが、秋の味覚を神様に感謝しながら味わっていきたいと思います。また、来年は是非びわの実も成りますように!!

つくしっこクラブ
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