2006年7月号

楽しみに浸って


長雨続きの今年の梅雨は、7月という時期を夏らしく感じさせてくれませんでした。曇り空なのに汗だくになる日もあれば、肌寒い日もあり、体温調整が難しそうでした。でも、元気なお子さんが多かったです。
あるクラスは大きなきゅうりが収穫できて、冷やしたものをおかか和えや、お醤油をたらっとかけて食べていましたが、鯉がえさに集まるような勢いで味わっていて、おかしかったです。家でしんみり食べるのと、わいわいいただくのは全然違うのですよね。
あるクラスでは、3,4歳児がまた広告を広げています。棒を作りたいのです。T君の「作って!」という気持ちに、今は応えてあげるときかと、広告を本人に選んでもらって、巻きはじめました。途中からT君にも両指を乗せてもらい、一緒に仕上げです。セロテープを切ってきてもらい、自分で留めて完成!。そして週があけたある日、T君は広告棒を1人で作っていました。きゅっとしまった棒です。またK君も作っていました。この間、となりで「僕も作ってほしいの。」とじっとみつめていた3歳児のお子さんです。その日はそのあと活動が入っていたので、K君には「今日はT君までね。」と話しておしまいにしたのですが、「両手でこうやって押していくんだよ。」と自分の技術になった棒作りを落ち着いて話してくれました。やりたいという思いは、人を成長させるのですね。
ゆったりと時の流れるはずの夏。お子さんが身近なところでじっくりと楽しみに浸れるよう、本人が求めてきたら、その時に一緒にやってみてあげてください。教育的配慮を考えないで、一緒にその時間を共有することをやってみてください。親も楽しいはずです。

大きな手、小さな手


4月から毎日のように「ブランコ乗りたいよ~」と、大きな私の手を小さな小さな手で一生懸命ブランコまで引っ張っていた3歳児のS君。ブランコが大好きで、でも自分の力ではこぐ事が出来なくて、そんなS君が座っているブランコを私は毎日のように押していました。
S君と遊ぶ時間はとても楽しいけれど、毎日私と1?1で遊んでいたら、S君はこれから先お友達と関わる事ができるようになるのだろうか…と、自分のS君との関わり方に不安を抱いていたある日、S君の担任の先生から「S君にとって、先生にブランコを押してもらえる事はとっても嬉しい事よ。それよりも、先生がS君と関わる事が多くなってしまって、他のお子さんと関わる時間が少なくなってしまう事の方が心配だから、S君と関わる事が難しい時は無理しないでね。」と言われました。先生の言葉に、私は肩の荷がスッと降りました。
そして、S君の様子を気に掛けながらも、他の子との関わりを楽しめるようになってきた近頃。ある日、S君のお部屋の前を通りかかった時、ストローを小さく切った物を持って「U君とK君はどこ?」と尋ねてきた子がいました。顔を見ると、なんとS君だったのです。以前は毎日のように私の手を引いていたのに、いつの間にかお友達と戦いごっこが出来るようになっていたのです。そんなS君の成長がとても嬉しくて、私は溢れんばかりの感動に包まれました。
最近ではブランコよりも戦いごっこが楽しい様子のS君。敵役のお友達へ立ち向かっていく勇気がないときは、私の手をギュッと握って勇気を振り絞ろうとします。
今、S君の小さな手が、私の大きな手を引いて向かう先は変わりましたが、これからも私の大きな手でS君の小さな手を包み込んでいけたら、と感じています。

つくしっこクラブ
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