2007年4月号

おはよう!


はじめまして、という出会いの子供達が4月には何人もいました。初めて家庭を離れて、たった一人で幼稚園で過ごすのです。周りに人は一杯いても、それはまだ見も知らない人にすぎません。もちろん見も知らない人でも気にならず、インコを見ては一緒に顔を動かし、空にあがっている鯉のぼりや、桜の花びらを追いかけるお子さんもいます。でも平気に見えるお子さんも、トイレが近くなっていたり、我慢したり、しなかったお昼寝をするようになったりと、変調はあるものです。
そんなある日誕生会に参加して、椅子に座って先生方のパネルシアターにのめり込んでいく子供達を見ていると、胸が一杯になってしまいました。なんて健気な子供達なんだろう。不安で一杯でも自らその自分に向かい合おうとしている。みんなで集まるのが怖くて、私が膝に抱っこしていたB君はいつのまにかパネルの歌に合わせて体をゆすりだし、笑みがこぼれました。この間まで膝抱っこしてもらっていたC君が、私のことを目で追っています。自分もそうしてもらいたいのよね、わかっているよという思いを込めて、満面の笑みで彼に軽く手を振りました。私の体は一つですが、出来る限りのアンテナで一人ひとりの思いをくみ取り、信号を返そうとこの4月は頑張りました。保育者一人ひとりもそう励もうとしています。
進級児も新入児も出会いのぎこちなさはありました。それでもおはよう!と変わらぬ笑顔を向け、いつも同じように受け容れていけるようこの一年も前向きに歩み出したいと思います。
園長 松本晴子

お片付けの時間


お片付けの時間。なかなか部屋に入ろうとしないA君に入室の声を掛けました。けれども遊具に上がってなかなか降りようとしません。私は何気なく「じゃあ、一緒にお部屋まで行こう。降りるの待っていてあげるから」と言いました。するとA君は、はっとして「あっ昔のママと同じだ」と。
「昔のママって?」「昔、(僕がこんな風に遊んでいた時、ママは)今の先生みたいに待っていてくれたんだ・・・」とちょっぴり寂しそうに話してくれました。その後、A君とママのお話をしながらお部屋に向かいましたが、登園時、ママと離れがたい様子のA君でしたので、私はその言葉がとても心に残りました。
A君の言う「昔」とはいつなのでしょうか?新しい環境への不安が強いこの時期、昨日の?一ヶ月前の?一年前の?ママの優しさは大きく心を占め、誰かのちょっとしたの行動でも思い出すのでしょうね。ママのことを思い出したり、気持ちの支えとして4月を過ごしているお子さんは少なくないことでしょう。A君の頑張っている気持ちが強く感じられると共に、4月の子供たちの不安や緊張を改めて実感したやりとりでした。

つくしっこクラブ
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