2009年2月号

心を開いて


自分の今までの世界観では対処できない何ものかに出会った時に、どのような態度をとるか。頑なに拒絶してしまうのか、それとも、心を開いて受容するか。その魂の態度に、人となりが現れる。  茂木健一郎『文明の星時間』 未知の贈りもの

幼子はまだ頑な存在ではありません。凍える朝は、凍った土のでこぼこを足の裏でおもしろがり、5センチの隆起を、山登りしているみたい!と表現する4歳児のAちゃん。
きじばとが豆まきの豆を食べに庭を歩き回っているのを、逃げない距離を微妙にとって一緒に歩いていく3歳児のIくん。
偕楽園公園の小さな堰きを、5分間も欄干の間に顔をくっつけながめている満3歳のTちゃん。
折り紙の折り方で、絵の位地が変わるカードを短大の実習生に作ってもらい、カードのめくりかたで絵の位地が動く不思議さに、何度も何度も友にやってみせる子供達。
不思議だと思ったことを自分なりに自分の世界に取り込み、確かめようとしていく姿に、感性ってこうやって育つものだと思わずにはいられません。学ぶ意欲も同じです。知りたい意欲を今の日本の大人の社会の枠で切り落としていきすぎないで!と、言いたいです。特に小学校・中学校の現場に余裕を与えて欲しいと、切に願います。子どもは地球の宝ではないですか。
一年間の歩みの軌跡を一人ひとり思い起こす3月。いろいろなドラマがあった2008年度に感謝して、また明日をつむいでまいりましょう。
園長  松本 晴子

子ども達に寄り添いながら ── その子の視線の先にあるもの ──


子ども達と一緒にいると、小さくてもこんなに一生懸命生きているんだと気付かされる出来事に、遭遇します。一見すると、ささやかなごくありふれた姿ともいえるのですが、そのひたむきな姿に「私も同じ人間なんだ。頑張ろう!!」という気持ちが湧いてきます。
【1】表現の「爆発」が始まった!?
ある日、満3歳児のA君のクレヨンを出してあげると、歓声を上げながらグルグル描き始めました。満面の笑みを浮かべ、いろんな色を試しながら夢中です。次の日は、園庭に指で描き出し、そのうち、鋤を持ち出し耕し始め、ついには、竜安寺よろしく、筋づけを愉しみ始めました。何がそんなに楽しいのでしょう? (それを知りたくて一緒に鋤を持ってみましたが…。)次の朝、粘土でのお団子作りに励むA君の姿がありました。
【2】ウサギコウモリ」をご存知ですか?
セミを食べるそうです。ある図鑑を隅々まで読んだ5歳児のB君が教えてくれました。「なぜ?」「どうして?」─── 私の疑問にもちょっとした学者のように答えてくれます。一度読んだことは覚えてしまうなんて羨ましいです。(私の脳みそにはできません。)この知識欲は将来どんなことにつながっていくのでしょう。本をたくさん読んで、いろいろ試し、思索を深めて自分なりの研究を進めていくのでしょうか。

幼児期に感性や知識に目覚め自分の世界を広げていく様子は、特別に輝いて見えます。その子の未来は可能性に溢れていて、見守るうち、つい自分のことのように興奮してしまいました。───落ち着いて考えれば、人生という大きな時の流れのなかでは、小さな出来事でしかないのですよね。それでも、応援せずにはいられません。
深谷 幸代