2011年3月号

信 頼


2010年度が感謝と深い感慨のなかで終わりました。日々の体験が役立ち支えになり、震度6の中で、2階ホールからの3,4歳児の避難は私が見る限り落ち着いた行動でした。私やクラブの先生の指示にしっかり聞き従い、階段を下りる途中での大揺れでしたが、幸いなことにしゃがんでいる階段上には何一つ落ちてこない状況で、揺れの小康状態時に園庭に避難できました。
普段からの避難の話や実際の訓練が役立っていることを、強く実感したときでもありました。一方あれだけの災害になると、電気(PC)や電話回線(携帯)が途絶え、保護者の皆様への個別連絡がとれない事態になることも経験しました。園児達を保護者の皆様にはお手渡しできましたが、被害の大きい土地では、家族がどこにいるかわからないという恐怖に苛まれたことが、強く想像できました。知っている方の顔を見るだけで、どれだけ慰められるかということ。でもやっぱり家族が自分にとっては何よりの絆であったということ……。このことを嫌というほど反芻させられているのかもしれません。状況が変化していく中で、いつでも行動できるように準備しておくことを幼いお子さんでも身につけていく姿を目にします。防衛反応なのでしょう。そんな中で、私達の心を癒すのは遊びなのかと思います。普段やっていた遊びがどれだけ子どもの心を解放するかを、園児の姿から震災後垣間見ましたが、被災地や集団避難した土地でも、とても必要なのだと考えます。遊び仲間ボランティアはいくらいてもいいと思います。被災ご家族も、少し子どもから離れて息をするだけで、またエネルギーが出てくるのではないでしょうか……。
2011年度がもう始まります。子ども達が平常に見えても心の不安がなくなっているわけではありません。それがこの震災での当たり前の状況です。そのことを意識しながら、遊びの中にある大いなる働きを用いる幼稚園でありたいです。神さまのまなざしが必ずそれぞれに注がれていることを信頼して……。
園長  松本 晴子

私達にできること


東北関東大震災を受けてから約3週間、水戸では以前のような生活が戻りつつあります。多くの方がライフラインの復旧を有り難く思い、以前とは違った価値観を持ち始めている事を日々感じます。電気、水、食べ物。私たちはどれだけのものに囲まれて生きてきたのでしょうか。今回の震災によってそのことに気づいた人も多い筈。そのことが原動力となり、様々なボランティア、積極的な資源の節約や多くの義援金の報道を見るとある種の勇気が沸いてくる気がします。大人も子どもも「自分ができること」をする中で、人との繋がりを有り難いと感じる。本来、人はそうした交わりの中で生きてきたのでしょうが、昨今では目に見えにくい繋がりを軽視してしまいがちであったことは否めません。
持つ物が変わり、着る物が変わり、意識する事が変わり、大事と思う事が変わり・・・
いつの時代も自然からの教示が私たちにとっては一番の教えになるのですね。大地震の夜は、町中の光がなくなり星がとてもきれいに輝いていました。そんなことに私たちは驚かされます。何かをなくすと、今まで見えなかった物が見えるのかも知れません。
私は地震の起きた時、園バスに添乗していました。初めての大きな揺れ、子ども達を守らなければという緊張、次の行動に思いを巡らせつつも、壁や塀が崩れる光景に、一体何が起こったのかと自分の冷静を保つのに必死でした。
未だに毎日のニュースは、大人さえ今後の想像ができない状況ですが、子ども達はその後、どんな日々を過ごしているのだろうと想像しています。余震の度に怖がる子、外にもあまり出られず退屈している子、遠方に避難している子、段々落ち着いてきた子もいるかも知れません。子ども達の心の中にはあの震災によって何が残ったのか。まず私たちにできることは、出来る限りの想像を巡らせて子ども達の心のケアをしつつ、安心して過ごせるように4月の保育にあたることだと、思いをかみしめています。
小林悠子

つくしっこクラブ
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