2013年3月号

育つものへのまなざし


2月のはじめごろ、お茶の水女子大学附属幼稚園の公開保育を見せて頂きました。以前から、いつか訪ねてみたいと願っていた園でありました。雑誌などで見る園の空気感が水戸幼稚園に似ているような気がしていたからです。日本で最初と言われる幼稚園であり、敬愛してやまない教育者、倉橋惣三氏がかつて幼子と過ごした園でもありました。『今その時の子どもの関心や喜びを大切にしています。ひとりの子の関心が、ゆっくりみんなの中に伝わり、共感が広がっていく流れを支えています。』『根本にあるものは、子どもの本来の力を伸ばすこと。子どもから出発しています。』という副園長さんのお言葉。いいですね。
その日は寒い日でした。コートが手放せません。寒風の中、外でPTAの方々が受付を担ってくださっていました。一足中に入り込んでみれば、古い園舎は昔の学校のようであり、アンティークな雰囲気さえあります。よくいえばそうですが、反対からいえば、使いづらいのかもしれません。しかし、その底に流れているのは、その空間をも工夫して使い切ってしまおうというバイタリティーでした。3学期のこの時期ともなれば、3歳児でさえ幼稚園が自分の生活の一部となり、今日は何をしようかと考えて、楽しみに登園している空気が伝わってきます。3歳児20名で2クラス。4歳児、5歳児は30名で2クラスずつ。水戸幼稚園よりはるかに多い子どもたちが、ありとあらゆる空間を使い切っていいようでした。
園内は暖房が入っていないくらいの状態でした。ろうかで羽根つきをしていた4歳児の女児。その脇を他の子たちが気をつけてすり抜けていきます。空き箱で作った車をもった5歳児男児たちが、積み木で作った道路の前でおしゃべりをしています。一人の子がその遊びの中に加わりたそうでしたが、きっかけがつかめず、ちょっと苦しそう。それでもその遊びに入りたくて、粘っています。園庭は普通に土で覆われていて、子どもと同じカラー帽子をかぶった保育者が、4歳児を中心に始まったリレーに加わって、気温5度くらいの園庭で臆することなく子どもの姿を盛り上げたり、順番を整理したりしています。かたや砂場?では凍った堅い土を掘り起こして水路にしようとやっきになっている女児がいて、身につけているコートの裾が水の中に浸っていてもおかまいなしの姿に、水戸幼のお子さんの姿がだぶって写ります。
靴を脱ぎ捨て、トイレへ駆け込み、その後手をエプロンでちゃっちゃっと拭き、また遊びに戻っていく子どもの姿も見かけました。子どもらしい本音あふれる子どもたちが、たくさん生活していたのです。
あたり前のことを維持していくのは、実は大変なことです。特に日本では難しい。建前を植え付ける教育を小学校以降していくからです。素直に感じていく感受性を否定していく行為が構築されてしまっている。だからこそ、子どもの園は負けるわけにはいかないのです。さあ2013年度も、自分自身と戦ってまいりましょう。根っこに愛をもって。。。
園長  松本 晴子

咲き始めた桜を見上げながら…


3月はあっという間に過ぎて行ってしまいました。年々、その速さは増し、自分のなすべきだったことが倍速で頭を巡る日々…(年のせい?!)。卒園させる迄に、まだ何か出来ることがあるのならしておこうと思いつつも、今年もなかなか思うように行かない毎日でした。人のすることには時間的にも能力的にも限界があります。実際、「今頃気付くなんて…」と、自分自身にあきれてしまうことさえあるのです。足らない…。
でも、それだからこそ、「育ててくださるのは、神さまです。」という、聖書の言葉で自分を戒め、神さまがなさることに期待するのでしょう。私達の手を離れても大きな神さまの御手に護られ、一人ひとりが自分らしく成長を遂げていけますように。できることなら、また、会えますように。 祈っています。

★A君へ  「素朴な疑問 大切に」
「どうしてだろう?」と、いつも君は考えていました。「土や砂はどうやってできるの?」という問いから始まった会話は火山やマントルに迄およびました。(楽しかった!!)「卒園したら、もう会えないね。」「え、会えるよ。体育クラブ(=幼稚園)に来るから。」その顔は希望に満ち溢れていました。学校に行ったら、お友達できるかな…って心配じゃないの? ちゃんと座ってお話聞けるかな…。私の思いをよそに、自信満々。でも、もし何か困ることがあったら、いつでも幼稚園に話にきてください。待ってます♪

★Bちゃんへ「♪このまま大きくなあれ♪」
覚えていますか? 星組の時は、首を縦と横に振ることで意思を伝達していました。びっくりする程小さなかわいい声を聞けたと時はうれしかったです。そんなあなたが、ひな祭り会で発表するお話作りでは、仲間の話を良く聞き気持ちを汲みながら、いろいろいいアイデアを出していく調整役を果たすだなんて…。3年前、誰が想像できたでしょう。おうちでは「みんなの意見をまとめるのは大変なんだ。」と言っていたそうです。
意思を働かせて事に当たっていたんですね。すばらしい!!  さあ、どこに飛躍の鍵があったのでしょう…。
満3歳児担当  深谷幸代

つくしっこクラブ
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