2013年9月号

フ レ ン ド


「私ひとりであそんでた。。。」そんな思いを口にする時があります。3歳から入園して、まず目の前のことに精一杯で、粘土をやっている人が目に入れば、それやりたいと思い、出してもらえて好きなようにいじくりまわして満足を得ます。おやつが食べられるとなれば、手を組み合わせて一生懸命指を広げて待ち、その中におやつの包みが入ればもう安心。それで満足の第一歩。自分でくつをはけて誉められたり、カラー帽子を被ることを覚えて庭に出てくると、自分をたいしたものだと誇らしげに保育者に見せに来るようになったりします。なんとなく同じ空間に身を置いて一緒にやっているような製作も、相手の子どもよりその製作物への憧れの方が勝っていて、それを自分も欲しいという意味合いの空間の共有。
一年後、4歳児になった頃、心が成長してくるにつれ気の合う友だちを求め出します。自分の興味のあることを共有してくれる友が欲しい。。。先生の前でぶらんこを漕いでいて、「みてみて足まっすぐでしょ!」というアピールを聞きつけて「私も出来るよ!」とライバル心で一緒になるメンバーではなく、顔を見合わせて漕ぎながらなんか笑いあえる友が欲しい。人は一緒にいても、あ、今ひとりの気がするという感覚は誰もが持ち合わすものです。例えば「またね~」と手を振っていてもDくんは気づかないで行っちゃった。「今日楽しかったね」と声をかけても、「ねえ、ママまだ来ない」と自分の関心事で一杯とか。お弁当用保冷剤で手を冷たくして大好きなお兄さんのほっぺたに触れて「うひょ~」というような喜んだリアクションを期待して仕掛けたのに、「あっちへいけよ、冷たいな」と当たり前のリアクションが返ってくる。その穴埋めに大好きな先生の背中にその手をあてて、「きゃ~つめたい」と驚いてもらえるはずと思っていたのに、「食べ終わってもお腹休めて座っていましょう」という道理だけが返ってきてしまう。一瞬寂しさがよぎったように見えたけど、また何事もなかったかのように席に着くとか。だから視線に気づけて、声が届き合って、意味がわかって、体や表情が安心して動き出せる相手は、友だちなのでしょう。
保育に携わる者は友を求めている子どもの心のつぶやきに、気づきたいと思います。つなげ合う手伝いもさりげなくしたいし、求めている手のぬくもりから感じたいと願います。あまちゃんこと、天野アキちゃんとユイちゃんの長かった旅路のように。。。
園長  松本 晴子

君がいて  僕がいる…   一味違う よくある話


いつの日からか、園庭には黄色い落ち葉。秋です。
子ども達は1学期にも増して、自分のやりたいことを見つけ夢中になってあそんでいます。そして、問題が起こると、自分の思いと相手の思いの間で揺れながらも、前向きに解決の糸口を探し当てていこうとします。仲間と一緒に生活する意義や意味を、子ども達は人との関わり(経験)の中で学んでいるのです。問題や課題などがきっかけとなって、より積極的な人との関わりが生まれてくるのを度々目にし、嬉しくなります。

★「『ごめんね』よりも知りたい気持ち 知らせたい思い 」
Aちゃん(5歳児)がやって来たかと思うと、唐突に「B 君(5歳児)、どうして私に『あっかんベエー』ってしたの?」と、B 君に問いかけてきた。B 君が黙っているので、私が間に入って「『あっかんベエー』ってされたら、悲しいね。どうしてそんなこと言ったのかなあ。」とAちゃんの気持ちを汲んでみる。背を向けて手元を動かして遊び続けているB 君だったが、「言―わない!!」と一言。その後は沈黙を守る構え。(でも立ち去りはしない!!)「B 君は、自分の感じたことや考えていることを言葉にして話すのが苦手なのかもしれないね。でも、Aちゃんと私が話しているのは聞こえているからね。」AちゃんにはB君は実はもっと仲良くなりたいと思っていることを伝えてみました。B君も別の話題を振ると、背を向けながらもちゃんと応えてくれて、おかしくなります。その様子や声の調子で、Aちゃんは自分の気持ちを受け止めてもらえたと感じたらしく、それ以上問い詰めることもなく、穏やかにその場を去って行きました。怒らず素直な気持ちで「どうして?」って 言えたAちゃん素敵でした。

★「同じ空気を吸い 同じ物を見 同じ夢を描けたら…」
たんぽぽ文庫(絵本)の貸し出しのある朝、「重いよォー」と宇宙に関する図鑑を返却するD君がいました。「重たいって何が入っているの?」「図鑑だよ。」「あら、宇宙について知りたいと思ったんだ…云々。」何気ない会話を交わしていた私たちの隣を、通り過ぎるC君がいました。帰り、その図鑑はC君の手提げの中に…!。同じ本を借りたいと思うほど、好きだなんて思わなかった。「宇宙飛行士になるのかな?」と声を掛けると、「エーッ (=ピンとこないようでした)!?」とのことでした。そこまでは考えていなかったんだね。でも、いったい何が選択するきっかけを生むのでしょう。不思議です。
虹組担任 深谷幸代

つくしっこクラブ
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