2014年11月号

クリスマス


クリスマスの飾りが園内をときめかせはじめたある年のこと。心に残ったエピソードがあります。クリスマスになるとふと思い出します。
給食のスープのお椀を前にしてどうしようかと悩んでいる顔のBさんがいました。5歳児ですから、スープは残したいけれど、おかずはおかわりしたいと担任に話すかどうか決めかねているのかと最初は思いました。結局担任には言わず、テーブルの脇に座り込んで目に見えるアクションは起こしませんでした。いざとなるとシャイになりやすい方だったので、大人に何を言われるかと先回りをしていて言えないのかな?とこちらも見ていて想像が膨らみます。ところがBさんの悩みは全く違ったのです。自分がトイレから戻ってきたら、全部飲んだはずのスープが残った状態で自分のテーブルの上に置いてあったというのです。この不可解さ。隣の友だちのCさんが取り替えたのか?聞いたら正直に答えてくれるだろうか?それとも「それがBさんのだよ。」と言われてしまうのではないか。うそをつかれるかも。だってCさんは時々うそをつくもの…Bさんは涙目になって聞きに行った私にこぼしました。Cさんも呼んで、二人に別の場所で聞き合ってみました。Cさんは自分が反対っこにしてしまったかもしれないと、気づいたようでした。Bさんが席をたっていないときに、気がついたら自分のそばに2つのお椀があって、どっちが自分のものだったか自信がなくなり、空の方を選んで片付けてしまったと。涙がこぼれてしまうCさんは、自分の弱さもわかっているようでした。Bさんはちょっとほっとしたような表情になりました。まだ無理かもしれませんが、今のように理由を聞かれたときにわずかでも正直な気持ちを出してくれれば、相手は心がやさしくなれるのです。BさんもCさんも苦労を負っているのが見えました。クリスマスの飾りのように、いつもきらきらしているように見える存在にも、光る部分の反対側には影が出来ているのです。身を処すために自分なりの方法を編み出して、身につけていく子どもたち。防御せずにはいられない比較社会が、いたるところにあるのでしょう。幼稚園も例外ではありません。大人も子どももしんどいです。
あ~私にもあるな~。弱いところ、ずるいところ。見たくない部分。見せたくない部分。都合よく評価されたい部分。それを帳消しにしたい自分。「あなたの弱さを見守っていますよ。」というイエス様のお力におすがりしてしか自分は慰められないのだと、つくづく思います。イエス様、助けてください。弱さを受け止めさせてください。
園長  松本 晴子

11月の幼稚園


★おんぶしてよ★
しばらく前にB君は並び順の事で友達と大喧嘩をしました。なかなか気持ちがおさまらず、悔しくて涙も一杯出て・・・でもダメなものはダメ。譲ってもらえる時もあるけれど、通らない時もある。これは両方の経験が大事なのだと思います。怒ったり泣いたり暴れもして、大分時間がたってから、「おんぶしてよ・・・」とぽつんと言いました。「いいよ。悔しかったね。でも最後はこうして我慢したのは偉かったね。もし何かあったらいつでもおんぶするよ」と伝えました。おんぶが逃げる手段といえばそうなのでしょう。でも、自分の気持ちをコントロールする時、特に怒りや我慢のコントロールでは、まず自分が落ち着く手段が必要です。暴力的ではない手段を見つける事。静かな部屋や小さいスペース、集中できるもの・・・人それぞれです。
B君はおんぶされると「お母さんにも一杯おんぶしてもらうよ」と言いました。B君にとって大人の背中は安心できる場所なのでしょう。B君は1つ方法を見つけました。その後も似た状況があると「おんぶしてよ」の声がかかります。


★“絶対”のない話★
通園バスの中でふっと出た話。「宇宙人はいるのか、いないのか?」
気になった子ども達は乗りこんできた友達に聞いていきます。「いないと思う。だって見たことないから」「でも、アメリカではUFOが写った写真があったんだって。アメリカにはいるよ」「でもそれは偽物だったんだよ」等と情報が飛び交います。わからないから、絶対は無いから、ちょっとずつ知っている情報を交換し合って想像したり考えたりする。“話す”って面白いなといつも思います。こんな何気ないやりとりが沢山味わえるのも2学期の成長の1つ。その後は「おばけはいるか、いないか」「サンタクロースはいるか、いないか」等と色んな想像を楽しみました。サンタクロースに関してはほとんどの子が「プレゼントが届くから」と信じている様です。Aちゃんの話しでは「私のマンションには一番上の階にサンタクロースが入ってくるドアみたいなのがあった」そうですよ!


★律儀な子ども達★
落とし物があると「誰の?」と名前を確認して相手を探して届けてくれるC君。友達がこぼした水を雑巾を持ってきてふいてくれるDちゃん。洗い物をしていると一緒に洗ってくれるE君。トイレットペーパーの芯で工作しているのが分かると「これどうぞ。私が(家から)持ってきたものだから」と届けてくれたFちゃん。そんな場面が日々あるので、なんて律儀で丁寧な子ども達!と感心してしまいます。自分ができるかどうか、そのことで満足が得られるかなんて打算なく、これが良いと思えば行動する子ども達。大人は勝てません。

小林 悠子