2016年3月号

さくら  いまさきほこる


3月の最終日。日が傾いて来る頃、預かり保育のお子さんがお母さんの声と共に帰って行くのを見送って、ふと顔を上げると、園庭のソメイヨシノが枝えだに花をつけて、ほほえんでいるのに気がつきました。え、いつ咲いたの?とつぶやくと、預かりのK先生が、「きのうから咲いていましたよ!」との声。私は西からの光が当たった桜の花が大好きです。たおやかであたたかくて、やさしくて。みていますよ~と言っているようで。お迎えを待つRくんがつぶやきました。「卒園式のときの、さくらの歌みたいだね。」「え、さくら?」「うん、さくらさくら、いまさきほこる~(せつなにちりゆくさだめとしって~)」「あ~そうだね。」と私もメロディーを口ずさみました。こんな会話を卒園生とすることができるのも、さくらが眺めていてくれているのを二人で感じているからなのかもしれません。
花と言えば、プランターに植え込んだ子どもたち個人個人の球根が、この2,3日でぐんぐん伸びています。以前水戸市から頂いた農園のパンジーも、あんなに弱々しかったのに、お日様に向かって色とりどりの顔をにぎやかに見せてくれています。寒風吹きすさぶ中、居心地のよい畑から水戸幼稚園のおそまつな土の所へ来て、根が付くだろうかと心配でした。そんな中、先生方が朝の庭の清掃の時に、水やりをせっせとしてくださって、どんなにありがたかったことか。誰が見ていても見ていなくても、心を向けてくださる行為が日々繰り返されているんだな~としみじみ思います。2015年度の子どもたちとの毎日も、見えること見えないことの繰り返しでした。子どもたちは本当に今を生きる存在です。あっというまに今を走り抜けて、過去をどんどん創り貯めていく。尊敬する愛育養護学校の校長先生であられた、津守真先生の言葉を引用させて頂きます。
「今の日本の学校教育は、まず初めに子ども達のあるべき未来の姿を想定し、そこから今なにをしなければならないかを決める為、それらに縛られて本質を見失いがちです。むしろ、子ども達と一瞬一瞬の関係を大事にして過ごすべきです。そして、この一瞬一瞬の積み重ねが自然と子ども達の未来となってゆきます。」
この言葉をかみしめて2016年度も歩み出したいと思います。神さまお守りください。

園長  松本 晴子