2016年5月号

幸せのクローバー


四つ葉のクローバーを子どもの頃見つけると、それを電話帳にはさんで押し葉にして、乾いた後はお気に入りの本にはさんで大事にした思い出があります。四つ葉を持っているといいことがあるんだって。。。と耳にしていたからです。こういう類のものって色々ありますよね。今思うと人の心理をよく捉えているな~と思うのです。幸せのクローバーはその方の安全基地のかわりになっているのかな。。。と。つまり安心のよりどころ。本来は人間、身近な家族や大切なパートナーが安全基地になるものです。でもいつでもその人がそばにいられることはないはずです。少しずつ人は自立していく。大河ドラマとかでも、人質に出された奥方が夜中にそっとお守り袋を取り出して、それをじっと眺めるような場面があります。これは神仏にご加護を祈る思いもあるでしょうけれど、それよりもそのお守りを持たせてくれた大切な人への信頼を思い出す。そちらの方が勝るのではないかと考えるようになりました。
幼稚園生は幼稚園という場に入園して、母や家族という安全基地から離れて数時間を生活するようになります。母は見えませんし、手もつなげません。抱っこもおねだりできません。それでもだんだんと離れていても愛着の対象への思慕に執着せず、自分のやりたいこと、興味のあることへと行動し始めることが出来るのです。それは心の中にしっかりとしたイメージとして、幸せのクローバー(大好きなおかあさん!)を思い浮かべることが出来るようになっているからです。これはとても凄いことですね。生きていく根っこの中の根っこと言えましょう。
いや、まだそこまでいっていない。まだ離れるときには大泣きするしとおっしゃる方も、慌てることはありません。今からゆっくり幸せのクローバーになれますから。根気よくお子さんの姿を見て、行動や言葉を「~したかったんだね。」とまず受け止めてあげてください。たとえお子さんがちょろちょろしていても、毎日同じようにおとながおいしそうに食卓を囲んでみてください。お子さんは自分で輝く力をもっています。おうちのかたが、幸せそうにしていれば、それでいいんです。クローバーは自身が輝いているのですから。

園長  松本 晴子