2001年11月号

あっちでも、こっちでも


食後の園庭。
「D君が泣いているよ!」と呼ばれて行ってみると、森の木車という遊具の下で涙をぽろぽろ落としているD君。聞けば、ぼくのことを仲間に入れてくれないんだ…と悲しそうです。脇にいる2人K君とT君はいつも遊んでいる友達なのですが、2人はD君が自分に都合よく遊びを変えていってしまうことが嫌になってしまったようです。過去に言われたことを思い出して、「靴下の長さが違うからおまえはダメと言ったりするし…」と責めに入るK君。でもD君は前のことはけろりと忘れているようで、「入れてくれって言っても、入れてくれないんだ。」を言い続けているばかり。2人はあーあという顔をして立ち去って行きました。D君が過去の自分の言った事を認めてくれれば、一緒に遊ぼうぜとなったのに…。彼は入れてくれないという自分の思いだけで、一杯になってしまっているのでした。(年長児)
ブロックジャングルの上で泣いているT君とU君は、M君に掴まれて痛くて泣いていました。聞けばM君は箱車に乗って3人で遊んでいたのに、急に2人が逃げていってしまったことが悲しかったとのこと。2人の方はM君に縄を体に捲かれて嫌だったとのこと。M君はこれはおもしろいと、遊びを広げたつもりだったのでしょうが、2人の気持ちには全然気が付けないようでした。ただ仲間はずれにされたことが、耐えられなくて、力ずくで自分のそばにおいておきたかったのでしょう。(年中児)
ブランコの鎖を両側から引っ張りあっている2人は、1つ空いたブランコに駆け寄って乗ろうとした年少児。ぼくが先だった!ぼくだよ!と言い合って譲りません。そこへ冷静な年長児の一言、「S君の方が早かったよ。」に、もう1人はすんなりあきらめて待つことに…。保育者より威力があります。
トラブルは毎日なにかしらあります。1日中それを引きずっていたら、つらい1日となってしまいますが、しばらくしたら、切り替わるきっかけをみつけて、別の楽しみをみつけていくのが子供達の健康な姿です。今のうちに一杯喧嘩をしておいてね!という気持ちです。その方がよさそうです。大人になってからひきずる憎しみは、始末が悪いですから…。

メロンさん   『チャレンジ』


「あなたは、最近何か出来るようになった事がありますか?」と問われたら何て答えよう…。大人になった今…私は…ちょっと自問自答。
そんな中、幼稚園では、日々何かしら出来るようになり、とびっきりの笑顔で報告してくれる子供達がいる。9、10月そして今、園庭では、縄跳び、竹のぼり、鉄棒などが盛り上がっている。縄跳びでは、大縄でのへび跳びしか出来なかった子が、3日の後には1人でピョンピョン跳べるようになった。幼稚園でも家庭でも頑張ったから、背中が筋肉痛になってしまった子もいた。子供達はやる気になると、本当にビックリするほどの成長を遂げる。
しかし、やる気になったからといっても、いつもうまくいくとは限らない。なかなか鉄棒での前まわりが出来ない年長のA君。「(鉄棒があたって)お腹が痛いから」と言ってどうしても1人では回れない。何度も補助をしながら回ってみて「次は、1人で出来るかな?」と促して「うん!」とA君。鉄棒を握り数秒沈黙!やっぱり回れない。何で、あとちょっとなのに…と思う前にまたまた自問自答。『一輪車があって、誰かに手をつないでもらえば走れる私。でも、さぁ1人でやってみてと言われたら…怖い、落ちたらどうしよう、頭ぶつけるかな?出来ない…』きっとこの子も怖い気持ちと戦っているんだ、勇気を出して、そう勇気。私は途中までは援助出来るけれど、最後の1歩は自分で進まなくちゃ!!もう心の中は、アタックNO1やらエースをねらえ、スク-ルウォ-ズなどスポコンドラマが巡りめぐっている。
ふと見ると、ブランコでは年長のB君が懸命にブランコと格闘している。隣りでは、年少児が上手にブランコをこいでいる。B君は決して「ブランコがこげない」などと口に出さない。足を伸ばして、閉じてなど基本は出来ている。ただタイミングが合わないだけ。口に出して教えてあげたいけれど、きっとそばに行って言葉に出すと「ブランコもうやらない」と行ってしまうだろう。(先日それで失敗した) あんなに頑張っている、きっともうすぐコツを掴めるだろうと心の中でエールを送った。
年中児のC君。彼は最近、鉄棒の前まわりが出来るようになった。毎日のように「見てて」とくるりんと回って見せてくれる。「ほらね」とその時の笑顔がとても素敵!!
そう私も大人になって出来るようになった事があった。数年前から習いはじめたバイオリン。しかし、週1のレッスンも休みがちだし、あまり練習しないで行くので、すごくはずかしいし困る。(自業自得だが…。) 先生に「大丈夫よ、気長にやりましょう」と励まされ弾く私。そんな時、私の気持ちは、園児と一緒になる。

つくしっこクラブ
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