2003年7月号

一抹の寂しさ


 水戸幼稚園の庭は南北に細長く、見学に訪れる方は、
 「わあー、お庭広いんですね!」と、ちょっと、驚かれることがよくあります。
 手前は、桜の巨木が暑い夏の光線をさえぎり、しゃぼんだまや、三輪車や、ドッチボールの球が横切っていく庭です。奥はボール蹴りをしたり、ままごとやどろこねをしたり、遊具に乗って、常磐線をながめたりできる庭でした。垣根にはかたつむりがよくいて、梅雨の頃には、空き箱をかた手に探し回る子供たちの姿がありました。ゆずの木が1本あって(それがゆずだとわかったのは、ごく最近ですが。)、あげはの幼虫が毎年葉を食べて、成虫になっていきました。そんな素敵な奥の庭が、この夏変貌をとげます。残念ながら、垣根を押さえていた板が腐ってきており、もしも崩れたら、という懸念から、きちんと工事をすることとなったのです。河川の護岸工事のように、味もそっけもなくなってしまうかなという思いがあります。毛虫で苦労する点は楽になるかなと、去年の大発生を思い出して、つぶやいてもしまいます。
 それでも、また少し木を植え、時間をかけて庭を作っていきたいなと考えています。自然の営みが少しでもつながっていくように。そして子供がそれに気がつき、目を輝かしてくれるように。
 夏休みが終わった後の子供の反応がとても楽しみです。それをヒントに、保育の場を考え深めていくことが、これから数年の課題のひとつとなりそうです。

つくしっこクラブ
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