2008年5月号

見つけた先にあるもの


5月の初めに、百貨店でやっていたあべ弘士さんの原画展に行ってきました。あの旭山動物園で飼育係として働いてきて、絵本画家になった方です。素晴らしい原画に囲まれてHAPPYだったのですが、その時に飾ってあった虫の絵と同じ虫に、園で出会ってしまったのです。
「先生、虫!むし!!」と大きな声で私を呼ぶ声が。行ってみるとこの愛らしいハートマークさんが砂地を歩いていました。それが『エサキモンキツノカメムシ』。その模様の美しさに男児数人としばし観察。昔から虫が大好きというわけではありませんでした。それでも小さい頃には、かやの野原でカマキリの孵化に立ち会ったり、畑のありの巣穴を掘って、卵を持って逃げまどうありを見つめたり、もんしろちょうを手で捕まえられるかと夢中できゃべつ畑の周りを追いかけたりしたものでした。羽を持たれて羽が破け薄汚れた蝶を、悪いことをしてしまったという後ろめたさと共に地面にそっと置いたことを、はっきりと覚えています。
生き物に興味のある子供達が虫を捕まえる姿を見て、みつける、発見する興奮と、自分のものにしたいというペット化の欲求(もちろん可愛がろうという前提で)、そして弱ってしまう姿にがっかりし、落胆する体験を、繰り返しているのがわかります。大人は可哀想だからとその行為を事前に止めてしまいがちですが、興味をもっている自然界の出来事を興味を持つなと言っていて、集中力を高めたい、想像する力を養いたい、はたまた環境について興味を持たせたいとは言えないのです。出来ることなら、自分がその場に立ち会った時、自分ならこうすると考えを決めて、自分を子どもに見せていくのが子供を育てる側の大人の役目であり、教育なのだと考えています。何かを見つけることの多いこれからの季節は、まさに命の躍動を感じていく絶好の時といえますね。
園長  松本晴子

おしゃべりの効用


子ども達といろいろな話をしました。
「朝何を食べた?」「お父さんお母さん兄弟の名前は?」「おじいちゃんおばあちゃんはどこに住んでるの?」─────質問で始まる会話はどんどん広がって、話に花が咲きます。そんな中から発見したことを、少しお分かちいたします。

1.おじいちゃんおばあちゃんが釧路に住んでいる子と久留米に住んでいる子が同じバスに乗っていました。100人弱の園児数ではありますが、全国という広がりの中で我が園の活動が見守られていると言うことでしょうか。園児達の成長を楽しみにしていて下さる方々の期待にお答えしていきたいという思いを新たにさせられています。

2.「ゴーヤを食べた。」と、毎日のように言う子がいました。苦みを知らないで育つ子が多い昨今、苦みをおいしく感じているこの子の存在は衝撃的でした。「本当!! 本当かしら?」  信じきれずに、お母さんに確かめてしまいました。
毎年、子ども達の希望をとって夏野菜を育てています。今年は特別に(この子と繋がりたくて)、ゴーヤの苗も植えてみました。みんなで味わうのは少し難しいかもしれません(スイカの方が無難ですよね)。どんな風に実が育ってゆくのか見届けたいと思っています。

会話を通して子ども達も心を開いていきます。互いの存在を身近に感じ、互いに親しみを増している今日この頃です。
深谷 幸代

つくしっこクラブ
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