2009年4月号

それぞれの安心


新入園のお子さんを迎え入れて、大人にとっては4月が急ぎ足で過ぎていきました。園バスの中は初日、2日目と泣き声も上がり、けなげに母と離れて堪えていたのに、4月末になって幼稚園が楽しくて楽しくてたまらないという子供達の表情に変わっていきました。「まだ帰らないよ-。もっと遊ぶ!」という切実な声に、子供本来の姿が見て取れます。現代にあっても、まだまだ子供の能力は退化していないかもしれないと、確信したくなります。 最近のお子さんは腕の力が弱いことを感じていたので、一本のロープを園庭の遊具にぶらさげて新遊具の誕生をみました。その名も『ぶらりんこ』と命名。毎日のように進級児がしがみついたり、足を輪にはさめてターザンよろしく揺れています。おもしろければ何回でもやり、あっというまに力が付いていくのですね。昨年度、年長の女の子達に可愛がられていたMくんが、4歳児になって急に活発になって、階段の手すり滑りをぎこちないながらもしていたのには、驚きました。これも全身をうまく使う必要があるんです。「すごいね。」と声をかけると、嬉しさで廊下をジャンプしていきました。
こんなこともありました。集団生活はまだなじまなくて、お弁当を廊下のテーブルで私と一緒に食べて過ごしているTくん。2人きりだと落ち着いて、一緒にお店へランチに行ったような気分になります。全面のガラス窓からは、庭の木々のきらめきが見え、最高のロケーションなのです。食べながら会話が弾んでいたのに、ふと気がつくと外の梢のかなたの方をじーっと見つめている姿がありました。そのまっすぐな視線と美しい瞳の横顔に、心を打たれました。これからどんなにいたずらをしていくとしても、多分私は彼を信頼していけるでしょう。そんなことを考えた一瞬でした。
幼稚園で過ごしていると、どんなに幼いお子さんでも、人間の素晴らしさを醸し出して生きていることを知らされます。毎日大変でもいいか…って思えた4月でした。
園長  松本 晴子

花びらジュース


しばらく前から色水遊びが続いています。すりばちで花びらを擂り色合いを楽しみます。“擂る”x作業は初めはなかなか難しいのですが、毎日擂り続けているお子さんは上手になってきました。何事も経験。自分の手の感覚で覚えていくものです。私は近年手先を使う事の大事さをよく感じています。指先だけでなくもちろん体も。どこにどの程度力を入れるのか、そして実際に自分の思いの通り動くのか、子供達は日々遊びながら体得しているのですね。単純だけれど面白い遊び。ぶらりんこも色水も団子作りや水遊びもきっとそうなのでしょう。子供達のために花びらや葉っぱを集めながら今日はどんな色水のジュースが出来るのか想像している毎日です。
Mちゃんは葉っぱでお茶を作っていましたが、小さなすり鉢で2リットル分作りました。一回擂ってきっと50~100ccくらいの色水。真面目な彼女は水で薄めたりせず何度も何度も何度も・・・。                            一体何度くらい擂ったのでしょう。午前中いっぱい向かっていたのです。
反対に水をじょうごで入れる事が楽しくなったR君は水を入れすぎて色味がなくなってしまい「どうやったら色がつくの?」と。それから様子を見ながら擂り加えていきました。でも、元々ペットボトルいっぱいに水が入っていたのですからに加えればすぐに溢れます。溢れては入れ溢れては入れ・・・
いつになったら満足する色になるのでしょう。
こうして頭と体を使うことが、かけがえのないものなのだと感じています。
小林悠子

つくしっこクラブ
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