2017年3月号

ようこそてのひらへ


ちいさなかがくのとも 4月号は『ようこそぼくのてのひらへ』という絵本です。草っぱらで見つけた小さな赤いテントウムシ、僕の手にもこないかな。。。と、手を差し出す男の子。ドキドキした気持ちが伝わってきます。新学期、子どもたちを待っている幼稚園の空気感に似ているな~と、絵本を手に取りました。
手を差し出して待つのは、私たち幼稚園スタッフ。上ろうか上るまいか迷いながら、ちょっと手に上っては、また降りていき、あ~上ってくれた嬉しい!と思ったら、羽を広げて飛んでいってしまった。。。これが新しい子どもたちの姿。こんなことを、4月そして1学期は繰り返していくのよね、と温かみのある絵を見ながら、読み進めました。

砂場に新しい鹿島産の天然砂が入り、日の光に白い砂の石英がきらきらしているのを見ると、幼稚園の砂場であるのに、海の波の音が聞こえてくるようです。そしてゆっくりとした時間の流れのなかで、私も地球のつながりの中のひとつなんだな~と、ぼんやり思うのです。子どもたちはそんなことを考えたりはしないけれど、大きくなった者よりずっと地面に近くて、砂に服のまま寝そべり、からみ、つかみ、一体感を全身で味わっていきます。確実に何かをインプットし、記憶のヒダは細かくなっていくのでしょう。だれも止める者はなく、保育者はおひさまのように、にこにことその光景を眺めて、いっときの幸せを子どもと共に享受するのでした。

そうそう、園で飼っているうさぎのショーンが、預かりの保育だけのこの春休み、自分の掘った穴から出てきて、子どもたちの前に姿を見せてくれたのです。飼っているのに通常の教育的効果はほとんどなしと思われたのに、実は目に見えない(自分にとって役にたたないとか、関係を結べないなど)間も、その存在は私たちに影響を与え続けていたということを、教えてくれたのです。そう、信じて待つということを。変化するときが準備されているということを。それは、神さまの似姿である全てに関して言うことができることなのかな~。とうのショーンは、ずっと自分のやり方を守ってもらえたので、出てきても人を信頼してえさをもらったり、顔を洗ったり、くつろいでいました。
そのうち人間の子どもの興味の対象として、怖い体験が与えられると、トラウマになって出てこなくなるのかな。。。

園長  松本 晴子

つくしっこクラブ
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