2017年8月号

夏 の 庭

夏休みの間、水戸幼稚園の庭では、生きものたちがのんびりと生活をしていたのかもしれません。なにせ庭で遊ぶ子どもたちの数が、ぐっと減りましたからね。だんごむしは勢いを取り戻し、せみはアブラゼミからミンミンゼミにと鳴き方が変わり、短い地上での生活を大きな声で鳴くことで、謳歌していました。様々な蜂が狩りにやってきたり、草むらにはおんぶバッタやイナゴが隠れています。そしてアカガエルも、おたまじゃくしから大きくなって、園の片隅に逃げ込んで、ひそやかに暮らしています。先日ばったり出会いました!!それに以前から子どもたちが室内の活動に入ると、つがいで庭をのんびりと横切っていくカラスがいます。7月に水遊びをしたあと、業者さんが分解しに来るまで、組み立てプールが庭の南側にあったのですが、上にかぶったブルーシートにたまったたっぷりの雨水で、暑い夏に毎日水浴びをしていたようです。保育者が夏期休暇前に汗だくになりながら抜いたえのころぐさも、すぐさま伸びてきて、あちこちが草だらけです。それは平和な庭でした。そうそう、うさぎのショーンは、夏はやっぱり地下にもぐってしまいます。めっきり姿を見ることが減りました。地面の下は涼しめなのでしょうね。生活の知恵です。

夏休みの後半に夏期保育がありました。庭に少し毛虫のふんが落ちるようになったな、「あれ、イラガがこの木にまた付いたようね。」など、人間の子どもたちが大勢戻ってくることを思って考えました。植木屋さんに相談して、今年度初めて、桜とイラガの付いた一本の木だけ、一回だけ薬剤散布をしていただきました。本当は小鳥が毛虫をつまみにきて、というように、循環によって生きもののサイクルは動いてるのに、大きなおせっかいをしてしまったな。。。と、後悔のような気持ちがにじみます。結果としては、ほとんど毛虫の仲間は付いていなかったようで、翌日庭はさっぱりとしていたのです。つまり夏の間の循環はうまく働いていたようなのでした。あ~あ、せみは大丈夫だったかな?

子どもたちが戻ってきて、今はスズメバチに気を配っています。温暖化は世界中に影響を与え、人間が不自由するようにも思えます。この150年の私たちがやってきたことによる変化は、速すぎたのでしょうか。たぶんそうですよね。どの生きものも、生きていくスタイルに変化が見えてきます。種を残したいでしょうから。人間の子どもたちも生活の中で、遊ぶ生活を通して、危険なことをも学んでいきます。どんなに庭が好きでも、理由があれば折り合いをつけて、室内でも過ごします。本当に3歳であっても、すごい存在です。でも、ミサイルのようなものには、自然の黒雲やひやっとする冷風や雷とは違い、五感を働かせるすきがないではありませんか。恐ろしい今となりました。

園長  松本 晴子

つくしっこクラブ
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