友だちの存在
子どもたちが戻ってきました。またにぎやかな毎日となります。お母さんと門の所で離れづらいお子さんも、針金ハンガーを広げて作ったもので、大きなしゃぼんだまを飛ばしている他児を見て、おもしろいなと笑みがこぼれます。園生活のリズムを取り戻すのはまだ先でしょうが、Bちゃんがいたな、Cちゃんがおもしろいこと言っているという日常を見聞きして、以前を思い出していくことでしょう。
Rくんは幼稚園に来たものの、仲良しのTくんがお休みで、ぽしゃんとした2,3日を送りました。ところがTくんが登園してくるやいなや、よくしゃべりだし、食事も彼の隣でぺろっと食べ、別人のようになりました。友達と一緒にいることを楽しめるというのも、自分にとっての自信になることが、よくわかります。ところが、自分のありのままを受け入れていないと、友達に気に入られようということにばかりに気が向いてしまい、動き方がぎこちない姿も見かけます。これが不自由という状態なのでしょう。状態によって課題が出てきますね。友との信頼を作っていくために、保育者もアピローチしていく秋です。
苦手…でもやっぱり好き!
夏休みが明け、ほんのり黒く日焼けした子ども達。久しぶりに子ども達の顔を目にすると、一人ひとりが元気に夏休みを過ごす事ができてよかった、という安心感と同時に、わけもなくドキドキワクワクしてきます。2学期はどんなおもしろエピソードが生まれるのでしょうか。とても楽しみです。
先日、夏期保育のプログラムの中でデザート作りをしました。「どんなデザートが出来上がるんだろう」「○○グループのデザートが一番おいしくできるもん!」など一人ひとりが期待に胸弾ませながら取り組んでいます。
お団子作りをしたあるグループでは、「手が汚れてベタベタになるから見てるだけにする…」と何とも消極的なU君の姿が…。粉をこねる事にどうしても抵抗があるようで、椅子に座ってずっとモジモジしています。「粘土みたいでおもしろいよ!」と誘ってみましたが、やっぱりモジモジ…。でも、私の中で丸める所だけでも挑戦してほしい!という思いがあったので、何度か粘って誘ってみると、そーっとそーっと人差し指で生地を押してくれたのです。生地にふれた瞬間のU君の表情は、まるでゲテモノにでも触ったかのようにゆがみ、「手が白くなったぁ…」とその手をどうしたらいいのかわからない様子。「大丈夫!洗えばピカピカになるから」とお団子サイズの生地をU君に手渡すと…さっきまでの表情はどこへやら、「ずーっとやっててもいい?」と黙々と丸め始めたのです!できたお団子を「これぐらいでいい?」と見せてくれたU君。その手には、誰よりもまん丸でおいしそうなお団子がちょこん、と乗っていました。「わぁ!とってもおいしそうだね!」と私が言うと、ニコニコしながら何度も何度も丸めてくれ、最後の生地には誰よりも先に手を伸ばしていたほどでした。翌日、できたお団子をおいしそうにほうばっていました。
感触が苦手で触れない、という子がよくいます。でも、ほんのちょっとしたきっかけで、苦手なものが好きになる事もあるのですね。その経験ひとつひとつが、子どもの視野を広げていく、そう感じた瞬間でした。