2009年9月号

信頼してみる?


相手を信頼するということを示される2学期となりました。高いところがまだ怖くて苦手な3歳児のT君は、遊具の上で「こうやって後ろから押さえていてあげるからやってみよう。」という私を信頼して、体を動かし始めました。もちろん怖いけれど、助けられてでも挑戦できれば、そんな自分が頼もしく感じるようです。
苦手な集団での活動。何が?と言われても自分でもよくわからない不安。自分とは違う周りのエネルギーを感じているようなK君。活動で「絵の具しようか。」とすすめられると、もう抵抗したくなっちゃって、やりたいのにやれない嫌な自分になってしまうことがよくあります。みんながいない静かなお部屋の片隅で、「K君には特別ね。」と絵の具をやらせてもらうと、〈私達には自分だけ特別という魔法の言葉が時々必要になります。(笑) 〉、筆をゆったりと滑らせ出していました。あとで見るその作品は、太い線を重ねていくことを楽しんだ跡が見えました。昼食時に声をかけると、何色が置いてあったのかもしっかり記憶していて、楽しめた様子です。クラスのその部屋にくっついていった友達が、そのおしゃべりに連なります。「みんながいるところだと、ぼく泣いちゃうんだ。でも今日はあのお部屋で絵の具をやったんだよ!」とくったくなく話す姿に、私達への信頼を感じるのです。
相手が自分のために一生懸命考えてくれているという空気は、必ず伝わるのではないでしょうか。それは徐々に頑なな心を溶かし、周りを見回す余裕を与え、思わぬ幸運をとりこめるチャンスをも、もたらすように思います。あとは本人がそのチャンスを掴めばいいのです。こればかりは自分で決めて動き出すしかありませんが…。私も相手を信頼することをやり続けなければ…と、自分を映す鏡である子供達に教えられる秋の日々です。
園長  松本 晴子

僕と友達


氷鬼の好きなA君と話していた時のこと。私も時々仲間に入れてもらうのですが、
保育者「今日も氷鬼やったの?」  A君「うん」  保育者「前は鬼は嫌だっていう子もいたけれど、今日はどうだった?」  A君「いなかった」  保育者「B君とC君もできたの?」  A君「うん。頑張ってるよ」  保育者「そうなんだ。だんだん鬼ができるお友達が増えてきたね。A君は鬼と逃げる方、どっちが好き?」  A君「鬼。だって早いもん」  保育者「一番早い(捕まえるのが)のは誰?」  A君「D君とE君。D君は遠くまで逃げて遊具の上の方に行ってもすぐに来ちゃうんだ。E君はすぐ泣いちゃうけど早い。」  保育者「最近(3歳児の)F君とG君も入ってるみたいだけど、ルールとかわかる?」「わかるよ!」・・・
私はA君の冷静な見方に本当に驚きました。こんなにも友達の細かなところまで見ていて、言葉で表現するのですから。「友達は頑張ってる」と変化を見てくれているのです。氷鬼という遊びは仲間の姿を受け止める気持ちと「僕は早いから鬼でもいい!」という自信をA君に長い時間をかけて与えてくれたのでしょう。
男の子達の興味は色々な遊びへと続いています。今日は遊具に足を引っかけ頭を下にぶら下がる事に挑戦。なんと!500秒もできたお子さんがいました!その間友達は「すごいなー」と感心しながら見ていました。見ながら「僕は〇〇はできるけど〇〇はできないんだ」と言っていたり。こうして自分と周りの違いも認め合い、自信を持ったりうらやましいと思ったりしながら次の目標となっていくのでしょうね・・・。
小林悠子

つくしっこクラブ
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